Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第10号

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総説
神経認知機能や社会認知などに焦点をあてた心理社会的介入によって統合失調症の社会機能はどこまで改善するか
池淵 恵美
帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
精神神経学雑誌 121: 759-776, 2019

 統合失調症の社会機能に影響を与える要因として,神経認知機能,社会認知,行う能力(対人スキルと課題処理能力),内発的動機づけ,メタ認知,自己認識,家族などの支援環境,精神症状などがある.それぞれの要因への心理社会的介入についてメタ解析を中心にレビューし,社会機能改善のためにはどのような介入をしていくべきか考察した.認知機能リハビリテーションは,神経認知機能の改善のエフェクトサイズは小~中程度,社会機能へのエフェクトサイズも小~中程度である.社会認知への介入は,表情認知など確立した評価方法がある領域では有意な効果が報告されているが,社会機能への影響は十分な結論を出せない.社会生活技能訓練などの対人スキルへの介入では,標的とするスキルや陰性症状の改善がみられるが,社会機能は小~中程度のエフェクトサイズである.課題遂行能力に関しては,働ける環境の提供とそこにおける能力を高める介入(援助付き雇用)の効果が明確である.特定のメタ認知に特化した介入効果が報告されているが,社会機能への影響の検証は不十分である.自己認識・障害認識などへの介入はまだ先駆的な試みにとどまっている.意欲・発動性の低下および陰性症状を改善する介入が報告されるようになっている.陽性症状への介入は控えめな効果が報告されている.家族・ケアする人たち・周囲への環境支援では,生活の質や再発防止などで効果が得られている.社会機能に関連する複数の要因を標的としたプログラムでは,社会機能改善を期待できる可能性がある.以上の結果を踏まえ,以下の3点を提案した.①段階的な機能改善ではなくまず実世界での生活を直接支援し,そのなかで必要な機能の改善を図るモデルが有用ではないか.②神経認知機能など個々の要因への介入のエフェクトサイズは大きくないため,実世界での社会機能を目標とする統合的な介入を計画していく必要がある.③環境支援の開発・普及が望まれる.

索引用語:社会機能, 統合失調症, 認知機能, 社会認知, 心理社会的介入>
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