Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第10号

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総説
神経認知機能や社会認知などに焦点をあてた心理社会的介入によって統合失調症の社会機能はどこまで改善するか
池淵 恵美
帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
精神神経学雑誌 121: 759-776, 2019

 統合失調症の社会機能に影響を与える要因として,神経認知機能,社会認知,行う能力(対人スキルと課題処理能力),内発的動機づけ,メタ認知,自己認識,家族などの支援環境,精神症状などがある.それぞれの要因への心理社会的介入についてメタ解析を中心にレビューし,社会機能改善のためにはどのような介入をしていくべきか考察した.認知機能リハビリテーションは,神経認知機能の改善のエフェクトサイズは小~中程度,社会機能へのエフェクトサイズも小~中程度である.社会認知への介入は,表情認知など確立した評価方法がある領域では有意な効果が報告されているが,社会機能への影響は十分な結論を出せない.社会生活技能訓練などの対人スキルへの介入では,標的とするスキルや陰性症状の改善がみられるが,社会機能は小~中程度のエフェクトサイズである.課題遂行能力に関しては,働ける環境の提供とそこにおける能力を高める介入(援助付き雇用)の効果が明確である.特定のメタ認知に特化した介入効果が報告されているが,社会機能への影響の検証は不十分である.自己認識・障害認識などへの介入はまだ先駆的な試みにとどまっている.意欲・発動性の低下および陰性症状を改善する介入が報告されるようになっている.陽性症状への介入は控えめな効果が報告されている.家族・ケアする人たち・周囲への環境支援では,生活の質や再発防止などで効果が得られている.社会機能に関連する複数の要因を標的としたプログラムでは,社会機能改善を期待できる可能性がある.以上の結果を踏まえ,以下の3点を提案した.①段階的な機能改善ではなくまず実世界での生活を直接支援し,そのなかで必要な機能の改善を図るモデルが有用ではないか.②神経認知機能など個々の要因への介入のエフェクトサイズは大きくないため,実世界での社会機能を目標とする統合的な介入を計画していく必要がある.③環境支援の開発・普及が望まれる.

索引用語:社会機能, 統合失調症, 認知機能, 社会認知, 心理社会的介入>

はじめに
 統合失調症をはじめとする重い精神障害をもつ人たちがあたり前に地域で暮らすこと(ノーマライゼーション)が,治療・支援の目標と考えられている.そのなかで主観的な満足感や幸福感,人生の価値の回復をめざすパーソナルリカバリーの考え方が大きな潮流となっている.当事者が「障害があってもなくても自分らしい人生を送ることができる」という生き生きしたメッセージを発信するようになり,リカバリーしていくプロセスをそばで支援していくことが専門家の望ましい役割であると主張されるようになった.精神症状や社会機能などの回復(客観的リカバリー)よりも,まずパーソナルリカバリーをめざすべきであるとの主張である87)
 しかしそれに対しては,パーソナルリカバリーを評価した研究についてのメタ解析94)によって,精神症状や社会機能はパーソナルリカバリーと有意な相関があることが示された.統合失調症の長期的な転帰調査では,抗精神病薬の発達や地域ケアへと社会制度の改変が起こっているにもかかわらず,その前後で客観的なリカバリーの程度には大きな変化がないとする厳しい報告もみられる47)86).客観的リカバリーは専門家が支援して達成していくべき目標であり,それはパーソナルリカバリーの側面支援として重要であることを著者は主張してきた45).そこで本論においては,実際の社会生活で「あたり前の生活」をしていくための心理社会的介入,なかでも神経認知機能や社会認知の改善に焦点をあてた心理社会的介入がどこまでリカバリーを支援していくことができるか検討したいと考えている.

I.本論の目的
 この総説は,統合失調症の実世界(real world)における社会機能を改善するためのさまざまな心理社会的介入の効果研究をレビューして実際にどの程度社会生活を改善しうるか検討し,その結果を踏まえてどのような治療や支援をしていくことが有用であるかを考察することを目的としている.
 なお,本論の視点から離れるため,薬物療法の影響についてはここでは取り上げない.また介入効果については,先行研究でメタ解析があるものはそれを主に引用し,メタ解析には含まれない最近の研究や,重要と思われる介入研究については随時紹介することとする.
 実際の生活を支える社会機能は多岐にわたり,性差,文化差,年齢などの社会的立場によって,適切な社会行動が大きく変化せざるを得ないことなどから,「社会機能」との概括的なくくり方には大きな課題が内包されている41).しかしこうした困難を前提としながらも,本論の目的を達成していくために,あえて社会機能の用語を使用することにする.ただし,例えばその内容が対人交流であるのか,労働能力であるのかなど,具体化できる場合にはより細分化した説明をしていきたい.

II.社会機能はどのような要因によって影響を受けるか
1.社会機能に影響を与える要因
 統合失調症の社会機能に影響を与える要因について,著者は既報41)で以下のように整理している.
 ①神経認知機能は直接にまたは社会認知を介して,「行う能力」である対人スキルおよび課題処理能力に関連している.
 ②社会認知は主に対人スキルに関連している.
 ③「行う能力」である対人スキルと課題処理能力とが,「実世界での行動」(実際の社会生活のなかで行っている行動)に関連している.
 ④上記3つの関連への媒介要因として,内発的動機づけ,メタ認知,「自覚している能力」などの自己認識がある.
 ⑤主に実世界での行動に影響を与える要因として,環境と行われている支援がある.

2.「行う能力」
 一般的になじみがうすい用語なので,「行う能力」について簡潔に説明する.米国でNational Institute of Mental Health Measurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia(NIMH MATRICS)58)により統合失調症の認知機能改善のための創薬の試みが行われたが,そのなかで神経認知機能のほかのエンドポイント(co-primary measure)として社会機能の評価についても検討が行われた33).そして実世界での行動を評価することは,環境や個人の生活経験などさまざまな媒介因子があって,直接的に神経認知機能を反映しない可能性があることなどから,「実際に地域でやっていることを評価する」のではなくて,「どの程度行う能力があるか(functional capacityまたはcompetence)」と,「患者がどの程度認知機能障害を認識しているか」の2つを取り上げた.それに倣い,本論では「行う能力」を要因として取り上げ,またそれぞれがかなり独立した機能であることから,行う能力を対人スキルと課題処理能力に分けた.「行う能力」は適切な環境において発揮することが可能な力であって,実験室でのパフォーマンステストなどによって測定できる.
 なお,一般的に社会機能という場合には実世界での行動を指していることが多いが,「行う能力」を指していることがあり,両者を含んでいることもある.ここでは両者を含んだ概念として引き続き社会機能の用語を使用していく.

3.社会機能に影響を与える要因についての先行研究
 神経認知機能や社会認知が統合失調症の社会機能に影響を与えることについては,裏づける研究がすでに多数報告されている39)52).Bowie, C. R.ら10)は,①神経認知機能と,②課題処理能力とロールプレイで評価する対人適応能力と,③実際の日常生活評価とを評価して,それぞれの関係についてパス解析を行っているが,神経認知機能は,2種類の能力(課題処理および対人適応)を介在して,もしくは直接に,実際の日常生活に影響を与えていること,対人適応能力は日常の対人関係と,社会適応能力は地域生活や家事への従事と関連があることを報告している.
 既報41)では社会機能と関連がある要因として精神症状を含めなかったが,精神症状,なかでも陰性症状が社会機能と強く関連しているという報告が多くみられる50)63).Ventura, J.ら96)はそれまでの73研究をメタ解析し,神経認知機能と社会機能との関連を陰性症状が媒介していると考えられると報告している.そこで本論では社会機能に影響を与える要因として精神症状も含めることとする.

4.複数の要因はどのように社会機能に影響しているか
 Green, M. F.ら35)は191例の統合失調症または統合失調感情障害に対して共分散構造分析を行い,初期視覚情報処理→社会認知→非機能的な認知内容→意欲発動性・社会的興味→日常の役割能力という構造が,最も統計的には妥当なモデルであったとしている.Venturaら97)は初発の統合失調症を調査し,非機能的態度と自己効力感とは,陰性症状および神経認知機能に仲介されて社会機能に影響を与えていたとしている.さらに実際の生活においては,家族のサポート,精神医療や福祉サービス,地域の経済状況などの環境変数が認知・意欲・社会機能に大きな影響を与えると考えられる.
 Galderisi, S.ら29)は740名の統合失調症の人たちに対して社会機能とそれに影響を与える要因について幅広く評価を行い,ネットワーク解析を試みている.その結果によれば,社会認知の5領域と神経認知の6領域はそれぞれが行う能力に結びついている.精神症状,なかでも陰性症状や解体症状が実世界の対人関係と結びついている.未来への希望やセルフスティグマなどの自己認識の4領域は,実世界の対人行動に結びついている.そして社会支援サービスを受けていることが実世界の行動や行う能力と結びついているという結果であった.
 以上のように複数の要因相互の関連性についてはまだ共通の認識には至っていないが,これまで述べてきたような要因が相互に影響を及ぼし合って,社会機能を形成していると考えられる.そこで本論では,こうした先行研究で報告されている要因を取り上げて,心理社会的介入によってどの程度その改善が得られるか,さらにそれによって社会機能の改善はどの程度期待できるか検討していくこととする.

III.社会機能に影響を与える要因への介入研究の効果
1.神経認知機能への介入による社会機能の改善効果
 神経認知機能への心理社会的介入である認知機能リハビリテーションは,cognitive remediation therapyなどと呼ばれ,反復練習や誤りなし学習などの学習理論に基づいて,認知機能の直接的な改善,もしくは低下している機能を代償する方略の獲得をめざすものである44).聴覚の初期処理課題など,より要素的な認知機能の反復練習を行うボトムアップ方式のものや,日常生活と同様の課題を行いながら,注意・記憶・遂行機能などを学習していくトップダウン方式のものまで,その理論には幅がある.例えばSubramaniam, K.ら89)はボトムアップ方式で,視覚・聴覚の弁別,表情・情動認知,こころの理論課題など徐々に複雑な課題の練習を行ったところ,介入群ではreality monitoringを行う内側前頭前野の活動性が向上して健常者に近づき,6ヵ月後の社会機能の向上もみられたとしている.
 McGurk, S. R.ら60)はこれまでの26件の無作為割り付け統制研究(RCT)をメタ解析し,改善効果のエフェクトサイズは概括的な認知機能が0.41,社会機能が0.36,精神症状が0.28であったとしている.Medalia, A.ら62)はこれまでのメタ解析を検討し,神経心理テスト改善のエフェクトサイズは0.3~0.9程度の幅であるのに対し,精神症状の改善は0.3前後,社会機能については0.3~0.5程度とやや小さかったとしている.Wykes, T.らの39研究のメタ解析104)では,概括的な認知機能のエフェクトサイズ0.45(follow-up 0.43),社会機能0.42(follow-up 0.37)と報告している.Wykesら101)102)は認知機能の改善が社会機能に及ぶ広範なものであるときに,効果が持続する可能性があると述べている.またメタ解析の結果から,その他のリハビリテーションと併用することや戦略学習を取り入れることが効果増大につながる傾向を指摘している.
 Revell, E. R.ら82)は初発統合失調症を対象とする11研究について解析しているが,概括的な認知機能のエフェクトサイズは0.13であり,有意ではなかった.Cella, M.ら14)は認知機能リハビリテーションを実施した45研究のメタ解析で,有意な陰性症状の減少効果(エフェクトサイズ-0.30)を報告している.陰性症状が社会機能に及ぼす影響を考慮すると,この結果は注目してよいと思われる.例えばMueller, D. R.ら70)は重い陰性症状をもつ61名を,integrated neurocognitive therapyもしくは通常の治療に振り分けて効果を比較しているが,自発性欠如の項目が治療終了後と1年後の追跡時を通して有意な改善を示し,概括的機能評価尺度(GAF)で評価した社会機能が1年後の追跡で有意な改善を示していた.
 認知機能リハビリテーションのこれまでの効果研究は以下のようにまとめられる.
 ①介入前後で神経認知の総合機能については有意な改善があるが,エフェクトサイズは小~中程度であり,健常者の平均値にはまだ及ばない.
 ②社会機能へのエフェクトサイズは有意であるが,やはり小~中程度である.包括的なリハビリテーションとの併用が有用との意見がみられる.
 ③陰性症状への効果(エフェクトサイズは小さい)が報告されている.

2.社会認知への介入による社会機能の改善効果
 人が周囲とかかわるうえで重要な社会脳の研究が進み,社会認知への介入も開発されるようになった40).社会認知は,“他者の意図や性質を理解する人間としての能力を含む,対人関係の基礎となる精神活動”と定義される81)が,以下の5領域が治療の標的となっている34)
 ①こころの理論(theory of mind)
 ②社会知覚(social perception)
 ③社会知識(social knowledge)
 ④原因帰属バイアス(attributional bias)
 ⑤情動処理(emotional processing)
 Browne, J.ら12)は社会認知を構成する要因について検討しているが,社会認知は情動処理能力とこころの理論を含めた1つの因子としてまとめることができること,統合失調症患者および健常者において社会機能と関連があると報告している.社会認知が社会機能に影響を与えているとの報告は多くある2)11).Fett, A. K.ら28)が52件の研究をメタ解析した結果でも,統合失調症の社会機能は社会認知でよく説明できたと報告している.この傾向は,統合失調症の病前期・前駆期72)や初回エピソード1)においても同様に報告されている.
 Grant, N.ら32)は32研究についてレビューし,社会認知の個々の構成要素への介入では情動認識と「こころの理論」に焦点をあてたプログラムで有意な改善がみられる傾向があるが,社会知覚と原因帰属バイアスについては効果が明確でないと報告し,標準的な評価方法が確立していないことも影響している可能性を述べた.また社会機能が改善するかどうかについては,まだ限られたエビデンスしかないとしている.Tan, B. L.ら91)は2005~2015年に公表された社会認知への介入61研究についてレビューし,やはり情動認識とこころの理論については一貫して効果が確認できるが,社会知覚と原因帰属バイアスについてはそもそも測定されている研究が少なく,明確な効果が確認できないとしている.
 社会認知の個々の構成要素にとどまらない包括的なプログラムとしては,Hogarty, G. E.ら37)のcognitive enhancement therapyがある.2年間のコースで,当初の3ヵ月は基本的な神経認知機能のトレーニングを週2回,次の3ヵ月は引き続きグループで神経認知機能のトレーニングを行い,残りの期間はさらに週1回社会認知のトレーニングおよび社会生活技能訓練(social skills training:SST)を行う.結果は,開始12ヵ月で処理速度と概括的な認知機能が有意に改善し,24ヵ月でさらに認知スタイル,社会認知,社会機能も有意に改善し38),終了1年後もこれらの改善が維持されていた.同時に前頭―側頭ネットワークの改善と問題解決技能や情報処理機能の改善とが関連していた26).Penn, D.らは,Social Cognition and Interaction Training(SCIT)と呼ぶ,情動認知や,社会知覚,原因帰属バイアス,こころの理論などについての統合的なトレーニングを開発し,その効果として一部の社会認知が改善することを報告した19).社会機能にその効果が及ぶためには,おそらくはSSTなどリアルワールドの生活をもとにしたトレーニングとの併用の工夫などが必要になるのではないだろうか.
 社会認知への介入は,表情認知などある程度確立した評価方法がある領域では有意な介入効果が報告されているが,標準的な評価方法がまだ存在せず,一貫した有意な結果が得られていない領域もあるのが現状である.また介入方法も標準的なものがなく,治験自体も規模の小さいものが多い.したがって社会機能への影響について十分な結論を引き出すことはむずかしい.

3.対人スキルや課題遂行能力〔行う能力(functional capacity)〕への心理社会的介入の効果
1)SSTをはじめとする社会的スキルへの介入
 Pfammatter, M.ら78)はメタ解析で,SSTで新たなスキルの獲得,入院の防止,適切な自己主張スキルの改善,社会的機能の改善が中程度のエフェクトサイズを示したとしている.Kurtz, M. M.ら53)は,22件のメタ解析で,練習したスキルの獲得はエフェクトサイズが大きく(1.20),全般的な社会的スキルや日常生活スキルや地域生活スキルの向上は中程度のエフェクトサイズ(0.52)があり,陰性症状の改善も中程度(0.40)であったと報告している.追跡研究を行っている介入研究は少なく,Anzai, N.ら4)の報告などごく一部としている.
 Integrated Psychological Treatment(IPT)は社会機能を改善するために,SSTと認知機能への介入を統合したプログラムであり,認知機能,社会認知,言語コミュニケーション,対人スキル,対人問題解決の5サブプログラムからなる.Roder, V.ら84)は,これまでに報告された30研究についてメタ解析し,認知機能,社会機能,陽性症状,陰性症状いずれにおいても有意な改善がみられたとしている.介入群内の前後比較のエフェクトサイズは,認知機能0.54,社会機能0.41,陽性症状0.46,陰性症状0.41となっている.
 Turner, D. T.ら93)は27研究をメタ解析し,SSTは通常治療やほかのアクティブな治療法と比較して,陰性症状(エフェクトサイズ0.268),社会機能(0.326)について有意な効果があると報告した.2015年に公表されたCochrane database systematic review3)で,social skills programについての13件の無作為振り分け統制研究において,社会機能の改善が標準的な治療に比べていずれも有意であったが,さまざまな尺度が用いられており,エフェクトサイズは算出されていない.
 誤りなし学習は,神経認知機能などの障害(disability)があっても,必要なスキルを獲得するための学習理論に基づく技術である.Leshner, A. F.ら55)は60名の記憶機能などの障害をもつ人を,誤りなし学習による2日間の社会的問題解決技能のトレーニング,もしくは症状自己管理のトレーニングに割り付けているが,前者で有意に問題解決スキルおよび記憶機能の改善がみられた.
 以上の結果をまとめると,対人スキルの改善をめざすプログラムでは,標的とするスキルの獲得がみられるが,社会機能の改善は小~中程度のエフェクトサイズと考えられる.陰性症状への改善効果や,複合的なプログラムによる広範な効果が注目される.
2)課題遂行能力向上への介入
 課題遂行能力に関しては職業リハビリテーションの領域で多くの報告があり,しかもアウトカムを一般の職場で就労していくことが可能かどうかに絞っているものがほとんどである.
 既報43)において報告したように,まず就職してそのうえで援助を受けながら仕事を続けていく「援助付き雇用(supported employment)」が一般就労(障害者向けではなく一般の人も働ける仕事に雇用されること)には有用であるという明確なエビデンスがある.米国ではそれまでの職業リハビリテーションの反省から援助付き雇用の手法が生まれて,1990年代には精神障害に対しても実施されるようになった.そしてレビュー論文により,援助付き雇用の優位性が確定した9).その後2001年にはCrowther, R. E.ら22)が体系的なレビューを行い,重度の精神障害を対象とする援助つき雇用で,就労前のトレーニングや通常の地域ケアに比べると,一般就労に至る率が高かったとしている(援助開始12ヵ月の時点でそれぞれ34%,12%).Cochrane database systematic review23)では,援助付き雇用は,就労前の職業リハビリテーションに比較して,一般就労率で有意な効果があること,しかし症状やQOLでは差がないことを示した.また援助付き雇用のなかでもIPSが重度の精神障害をもつ人にとって最も効果が明らかであるとしている.Hoffmann, H.ら36)は援助付き雇用で一般就労しても離職が多いのではないかというそれまでの懸念に対し,5年間の調査により援助付き雇用の効果は持続することを示した.
 こうした一般就労率が高い支援の特徴として,医療・リハビリテーションと就労支援の統合モデルであることが挙げられる.Cook, J. A.ら20)21)は福祉・就労・医療の統合の度合いによって高い群と低い群とで比較したところ,高い群のほうが有意に一般就労を達成した率や月40時間以上働けた率が高かった(達成率58%対21%,40時間以上率53%対31%).Mueser, K. T.ら71)はIPS群(医療,リハビリテーション,援助付き雇用を包括してサービス),PSR群(過渡的雇用のプログラムがあるデイケア),通常の治療群(外来のほかに別の機関で援助付き雇用を受けることが可能)を無作為に割り付けて比較したが,24ヵ月の追跡の結果,週20時間以上働くことができた人の割合(IPS群33.8%,PSR群4.5%,通常の治療群13.0%),労働に伴う2年間の総収入(IPS群2,078ドル,PSR群239ドル,通常の治療群618ドル)などいずれも,IPS群が有意に優れていた.
 近年ではModini, M.ら65)は重い精神障害をもっている人たちへの援助付き雇用の効果についてメタ解析を行っているが,RCTの17件を通常の職業リハビリテーションと比較して,一般就労に至るリスク比は2.40〔95%信頼区間(CI)1.99~2,90〕と高く,その効果は介入から2年以上みられた.さらにメタ回帰分析などにより,地域性や失業率は効果に影響しないこと,GDPの成長率が2%以下のときにはより援助付き雇用が効果的であることを指摘している.Metcalfe, J. D.ら64)はIPSモデルに基づく援助付き雇用の効果について,21件のRCT(12ヵ国で実施されていた)をメタ解析し,一般就労を達成する相対的リスク比が2.31(95% CI 1.99~2.69)であった.この効果は障害者の就労を守る体制や,障害をもつ人の保護体制が弱い国ではより明らかであった.
 Richter, D.ら83)は援助付き雇用を治験ではなく普及段階での通常の介入として行った場合に,効果に差異が生じるかどうか28研究をメタ解析し,一般就労達成の比率を比較しているが,RCTと通常の介入で行った場合とで一般就労率の差異は小さかった.
 援助付き雇用を前提としてさらに仕事をする力を高める取り組みとして,Wallace, C. J.ら99)は「職場での基本的なスキル」モジュールを開発している.Wexler, B. E.ら100)は認知機能リハビリテーションとの包括的実施を試み,介入終了後の追跡期間において有意差が出現したとしている.McGurkら59)も認知機能リハビリテーションを加える試みを行っているが,さまざまな就労の転帰指標で援助付き雇用+認知機能リハビリテーション群が優れていた.さらにMcGurkら61)はこれまで援助付き雇用で就労に至らなかった人たちを対象に認知機能リハビリテーションを実施して,その就労転帰の改善を報告している.
 Nuechterlein, K. H.ら74)は初発の統合失調症においてIPSモデルに基づく就労支援と職場で必要な対人スキルや問題解決スキルを学習するプログラム46名と,通常のリハビリテーション23名を比較して,最初の6ヵ月で前者のほうが有意に一般就労した割合が高く(83%対41%),1年後も維持されていた(92%対60%)と報告している.
 以上のように,働ける環境の提供とそこにおける能力を高める介入のほうが,福祉施設などでの就労能力を高める訓練よりも,効果が明確であることは,社会機能を高めるうえでの環境支援の重要性がまずは明らかであり,また能力を高めてそれに基づく環境を準備するというモデル(基本的な能力の訓練→社会機能の向上)が妥当であるのかについて疑問を投げかけている.この点は重要なので,改めて論じることとする.また社会生活に必要な複数の支援を別々の機関で提供するのではなく,「ワンストップショッピング」として1つの支援機関で実施することが有用であるとの報告は大切な示唆を含んでいる.

4.社会機能に影響を与えるその他の要因への介入の効果
1)メタ認知
 メタ認知は,現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより,自分自身の認知や行動を把握することができる能力であり,認識の対象としては,認知機能,自己の心理的状態,精神障害によって起こった変化や日常生活の障害などがある.環境に合わせてスキルを調整する能力とかかわりがあり,セルフモニタリング能力とも連関がある.
 Arnon-Ribenfeld, N.ら5)はメタ認知と統合失調症のアウトカムとの関連についてメタ解析し,社会機能および精神症状との関連が有意であったと報告している.さらにメタ認知は疾病や精神病症状への気づきとの関連が指摘されている15)68)98).Moritz, S.ら68)は140名の統合失調症と60名の健常者を比較し,情動認知の能力そのものよりも,それに対するメタ認知がパフォーマンスの低下にかかわっていたとしている.
 Moritzら67)は妄想をもつ統合失調症を対象に,認知のゆがみ(原因帰属の偏り,情報処理バイアス)についてまず心理教育を行い,その修正についてトレーニングを行うメタ認知のトレーニングを提案し,効果を報告している.Moritzら69)はさらに,認知内容の自己認識を高める個別のメタ認知トレーニングを開発しているが,92名の患者に対するRCTでは,認知機能リハビリテーションを実施したコントロール群と比較して,体験の意味の認識や病識を高めると報告している.
 メタ認知を標的とした病識改善プログラムとして,REFLEX79)が紹介されているが,合計12セッションの集団療法で,スティグマに対処する,発症前とその後の生活の変化や,自分のやれていることやもろさについて話し合う,現在の自分の状態への気づきを促すなどの内容である.Lalova, M.ら54)は介入研究を通じて,神経認知機能,メタ認知,自伝的な内省を促すことが有用であるとしている.
 しかしPankowski, D.ら75)はメタ認知トレーニングの効果について2009~2015年に刊行された14研究をメタ解析し,妄想の重症度,特に妄想的信念の確信度や困難感,病識の改善,結論への飛躍傾向などについては有意な改善が得られている一方で,社会機能の有意な改善はみられなかったとしている.Pijnenborg, G. H.ら80)は1975~2012年までの病識を標的とした薬物もしくは心理社会的介入研究をメタ解析し,19件のRCTがあるがデータが不十分であるか,もしくはエフェクトサイズが有意ではなかったと報告している.
 以上のように特定のメタ認知に特化した改善プログラムが複数報告され,標的となっているメタ認知の改善は報告されているが,それ以外の領域へのメタ認知への効果の広がりは検証されておらず,社会機能への影響もまだ検証されていない段階と考えられる.
2)自己認識・障害認識・内的スティグマ
 実際に行動を起こすうえでどの程度うまくやれると考えているかという自己効力感(self-efficacy)や,自分はどの程度行う能力があるかという判断である自覚している能力(perceived competency)や,行動を起こすうえで感じる不安など,社会機能に影響を与える要因はいろいろあり,相互に連関があると思われる.また内発的動機づけと自覚している能力には相関があることが,Choi, K. H.ら17),Tas, C.ら92)の報告でわかっている.
 Choi, J.ら16)は70例の統合失調症外来患者で,達成可能性についての自己評価と課題の価値とが課題の達成の程度を予測していたこと,開始時の成功の予期が課題実施の持続性に寄与していたことを報告している.Zou, H.ら107)は,集団心理教育で,疾病や薬物の自己管理や精神障害の理解などを改善するプログラムの効果について,13件のRCTをメタ解析し,有意な再発および再入院防止効果が報告されているが,社会機能への効果は実証されなかった.
 以上のように,取り上げる変数がさまざまで共通の効果はまだ明確ではなく,社会機能への影響も十分検証されていない.
3)陰性症状,および内発的動機づけにかかわる要因
 内発的動機づけは実験社会心理学の概念で,金銭や食べ物,名誉などのような外的報酬に基づく外発的動機づけと対比され,近年脳機能の解明が行われている.統合失調症では陰性症状などによる意欲の低下と連関があり,主観的な体験からいえば,希望や将来の展望とかかわりがある.報酬への反応それ自体か,報酬を予測したり予測誤差から学習する機能をドパミン系が担っていることから,Barch, D. M.7)は統合失調症ではドパミン機能異常から意欲・発動性の低下が起こると推定している.さらにBarchら8)はそれまでの研究をレビューして,強化学習や報酬予測や誤差予測プロセスの障害があり,未来に向かって望ましい行動を起こすことに困難があるために社会機能の低下につながると推測している.
 Lincoln, T. M.ら57)は,陰性症状はこころの理論の障害や,低い自己効力感や,対人関係にかかわる否定的な自己概念などと有意な相関を示したとしている.Strauss, G. P.ら88)は,20年にわたるシカゴ縦断追跡研究の一部として,39例の統合失調症を欠陥症状群もしくは非欠陥症状群に分類して比較したところ,欠陥症状群では総合的なリカバリー基準を1年以上満たしている割合が低かった.Fervaha, G.ら27)は,Clinical Antipsychotic Trial of Intervention Effectiveness(CATIE)研究に参加した1,427名の患者で,社会機能のすべての領域と陰性症状の程度は有意に逆相関していたと報告している.このように陰性症状,ことに意欲・発動性と社会機能は関連が強い.
 Cochrane database systematic review49)では精神病症状への認知行動療法のRCT 20件を検討し,何らかの心理社会的治療と比較して,再発率,再入院率,陽性症状,陰性症状について有意差はみられなかったと報告している.しかし著者46)は統合失調症の認知行動療法の効果についての近年のメタ解析を通覧して,陽性症状および陰性症状への有効性については,明確ではないか小さい効果サイズとする報告が主流としている.認知機能リハビリテーションおよびSSTの陰性症状への効果については,すでに述べた.Cellaら13)は認知機能の回復と同時に自己効力感の改善がみられることを報告しており,何らかの意欲や自信の回復が寄与していた可能性があるだろう.
 Grant, P. M.ら31)は,普段の生活の困難さから形成される失快楽状態であるとの一連の信念への認知行動療法として,目標志向的行動を強化するための言語的賞賛やトークンなどの強化子を用いた学習などを行い,通常治療と比較した.その結果,概括的な機能,意欲・発動性症状,陽性症状が有意に改善していた.Velligan, D. I.ら95)は陰性症状の改善を標的としたプログラム(MOtiVation and Enhancement training:MOVE)を開発し,重い陰性症状をもつ51名を無作為にMOVEと通常治療に割り付け比較したところ,陰性症状を評価する3つの尺度のうちの2つで有意な改善が認められた.
 神経認知や社会認知などへの介入を含む総合的プログラムとしては,Eack, S. M.ら25)は,Hogartyらが開発した認知強化療法(Cognitive Enhancement Therapy:CET)の効果を検証し,神経認知機能や情動処理機能の有意な改善とともに,陰性症状の改善(エフェクトサイズ0.61)を報告し,特に社会的な引きこもり,情動平板化,および運動抑制に対して効果があったとしている.Sánchez, P.ら85)は,神経認知機能全般への介入と,SST,心理教育,生活する環境での活動支援,家族心理教育を統合的に行うREHACOPと呼ばれるプログラムの効果を検証し,神経認知機能(エフェクトサイズは機能領域により0.51~0.88),陰性症状(0.48),解体症状(0.58),情動的ストレス(0.47),社会機能(GAF 0.61,DAS-WHO 0.57)が有意に改善していた.111名に対する無作為割り付け研究がさらに報告され77),陰性症状および社会機能の改善の効果量は中程度,事物処理を行う能力は大きな効果量であったと報告されている.
 1995~2012年に公表された研究をもとに欧州における陰性症状の治療ガイドラインをまとめたSzkultecka-Dębek, M.ら90)は,十分な治療法がない現状でこれからの開発が望まれると述べているが,メタ解析の結果からはエフェクトサイズは大きくないが,陰性症状の改善に効果を認める心理社会的治療がみられる.ただし社会機能が明確に改善するかどうかについては,まだ十分実証されていないといえるだろう.また最後に今一度論じることになるが,社会機能に関連する複数の要因(例えば神経認知機能,行う能力,陰性症状)を標的としたプログラムでは,効果も広範なアウトカム指標に表れることから,社会機能改善を期待できる可能性がある.
4)陽性症状への認知行動療法の効果
 Wykesら103)は統合失調症を対象とした34件を解析し,標的とした症状(陽性症状,陰性症状,気分症状など)の改善効果はエフェクトサイズ0.40,95% CI 0.252~0.548であるとした.社会機能への効果は言及されていない.Jauhar, S.ら48)は,50件のメタ解析を行ったところ,概括的な症状,陽性症状,陰性症状いずれも,「控えめな」効果サイズであった.精神病症状への認知行動療法について何らかの心理社会的治療と比較し,陽性症状への効果について優位性がみられなかったとの複数の報告があり,議論となった46)
 このように認知行動療法では症状の改善に焦点が置かれたレビューがなされており,社会機能への影響は明確に示されていない.

5.環境や人的支援による社会機能の改善効果
 行う能力に対して,教示や手がかりや安心できる保護的な環境が与える影響はあるだろうが,おそらく行う能力を実世界で実行する場合により大きな影響があるだろう.Davis, L.ら24)は心理社会的リハビリテーションに参加している148例の重い精神障害をもつ人に対し,潜在的パス解析を実施し,社会的サポート→ストレスを肯定的に受け止める視点→内発的動機づけ→社会的役割という有意なパスがあることを報告した.サポートが得られていると感じているかどうかで,肯定的ストレス評価や動機づけ,ひいては社会機能が影響を受けることになる.
 家族心理教育による,統合失調症の再発防止効果はエビデンスが明確であり,しかもエフェクトサイズが大きいことが知られているが,最近の報告でも,Girón, M.ら30)は50例の統合失調症を,家族支援を行う群と行わない群とに割り付けたが,家族介入を行った群では再発率,入院率,精神症状,対人スキル,周囲との関係性,雇用率,家族の負担感の面でより改善がみられていた.Claxton, M.ら18)は統合失調症圏の早期段階での家族介入14件をメタ解析し,社会機能および再発率の低下が有意であった.その機序として,家族の高い感情表出が低下し,負担感が低下し,家族のwell-beingが改善するとしている.
 Cochrane database systematic review106)において,重い精神障害をもつ人の家族への短期間の家族心理教育の効果を検証し,20RCTにおいて再発率が有意に改善(相対的リスク比0.70,CI0.83~1.72)するが,長期間の追跡ではその効果がみられなかった.また社会機能の改善もみられたが,研究の件数が少なく,エビデンスの質は低かった.家族心理教育の効果にもかかわらず,その普及が欧米でも進んでいないために,短期間の介入プログラムが開発されているが,まだ検証はこれからと思われる.
 環境支援という視点で興味深い研究がある.Papageorgiou, A.ら76)は,重い精神障害をもつ人のために働く精神保健の専門家に対してのコミュニケーショントレーニングのメタ解析を試みた.検索の結果,条件を満たす治験は1件のみで,専門家に対して重い精神障害をもつ人のコミュニケーションの特徴の理解を高めるとともに,わかりやすい言葉やシンプルな文で伝える,しっかりと視線を合わせ笑顔で表現する,要請するときには「私はこうしてもらえると嬉しい」など命令とならないメッセージとするなど,社会生活技能訓練の基本に基づきながら,認知機能に障害をもつ人へのコミュニケーションについての練習が実施されていた.21名の専門家と97名の精神障害者がRCTに参加し,介入群で患者の満足度が高かったが,社会機能や生活の質などの情報はなかった.Yesufu-Udechuku, A.ら105)は重い精神障害をもつ人をケアしている人たちへの介入21件をメタ解析しているが,ケアしている人たちの体験が改善する程度は心理教育およびサポートグループで有意であり,ストレスや生活の質の改善に役立つとしている.Ashcroft, K.ら6)は統合失調症をケアしている人たちを対象とした心理社会的介入について,2005~2015年の18研究をメタ解析しているが,通常の治療と比較して,入院(相対的リスク比0.62,CI 0.46~084),再発(相対的リスク比0.58,CI 0.47~073),治療や服薬順守(相対的リスク比0.38,CI 0.19~074)において有意な改善が得られた.
 Morgan, A. J.ら66)は重い精神障害をもつ人へのスティグマを減少させる介入についてメタ解析しているが,62件のRCTを取り上げて,偏見を含む態度(エフェクトサイズ039,CI 0.22~0.55)や社会的な距離感(エフェクトサイズ059,CI 0.37~0.80)が改善することを示した.
 環境への支援は大切な分野と思われ,生活の質や再発防止にかかわるアウトカム指標などで明確な効果が得られている.長期的にみて,こうした効果は当事者の社会機能によい影響をもたらすであろう.

IV.社会機能を改善するための戦略はどう考えるべきか
 これまで社会機能に影響を与える要因への介入の効果研究を通覧してきた.その結果から実際の現場でどのような介入が行われることが望ましいか考えてみたい.

1.実世界での生活を直接支援することが有用ではないか
 就労支援の現場では大きなパラダイムシフトが起こっており,それまでの施設における職業訓練を長期間行っても,なかなか実際には職場で働けるようにはならないことから,なるべく早い段階から,実際の職場での雇用を実現し,そこに本人と環境への支援を試みる戦略が功を奏している.同じことが仕事に限らず,学校や社会生活においてもいえるのではないだろうか.例えば米国ではすでに1990年代から「援助付き教育(supported education)」56)が試みられ,成果を上げている.これは早い段階から実際の学校生活に戻っていく手法であるが,支援者が教育に関する目標設定や実際の学習のやり方について直接支援を行ったり,学校運営側や保健センター,教員などとの調整を行うものである.こうした手法では,動機づけが得られやすく,当事者の希望に添った方法であり,パーソナルリカバリーと客観的リカバリーとが得られる可能性がある.例えば陰性症状の重い人たちは意欲発動性の低下が重く,希望や改善可能性をもてないでいる状態であり,段階的なリハビリテーションプログラムに乗りにくい.こうした人たちに,実世界で生活目標の達成をまず支援することは,意欲低下のメカニズムからして理論にかなうことであり42)51),リハビリテーション現場の体験からも首肯できることである.
 一方では,スタッフが医療施設から飛び出して街なかに出て行かなければならず,また多職種チームが必要となる.実世界で役立つ複数の支援を結びつけて統合的に実施することの効果がすでに就労支援の領域で確立していることは,わが国での医療と福祉とに分かれたサービス提供のあり方に対しての,大きな問題提起といえるだろう.こうしたわが国の医療・福祉制度では障壁となる事柄を乗り越えるためには,就労支援で明確になったエビデンスを,他の領域でも確認していく必要があるだろう.
 実世界のなかで気づかれる障害(disability)45)に対しては,随時ショートケアなどで,認知機能リハビリテーションやSSTや認知行動療法などを受けられる体制があれば,学習されたことが実際に使われやすくなる.学習には内発的な動機づけが重要であることから,自分にとって意味があると感じられる知識やスキルではなかったら,ふだんの生活で使われることは起こりにくい.この点も本人の学習やスキル獲得を促してから社会生活をめざす従来のプログラムからの大きな転換である.WHOの障害分類で提唱された生活モデルのなかでも,機能障害⇔活動の障害⇔社会参加の障害となっていて,一方向の因果関係ではないことが強調されている45).そして順番に,活動障害が改善したら日常生活が向上し,その後で社会参加を試みるという,リハビリテーションの方法論に対する誤解への警鐘を鳴らしている.
 ただし,まだ十分実世界での動機がもてない人,症状が不安定で保護的環境での回復が望まれる人,障害(disability)が重く実世界での負担が大きすぎると感じられる人,仲間との体験に関心がある人たちに対しては,デイケアやソーシャルファームなどの有用性は高い.

2.実世界での社会機能を視野に入れた統合的な介入が望まれる
 個々の心理社会的介入はいずれもそれぞれ標的がある.しかし認知機能リハビリテーションにしても社会認知への介入にしても,介入のエフェクトサイズは大きくなく,障害(disability)を補うところまでは届かないし,そうしたボトムアップで改善を積み上げる方式は,実世界での社会機能を改善する力は大きくない.それに比して,すでに紹介してきたように,いくつかの機能を視野に入れて,総合的に社会機能の向上をめざすプログラムは,実世界での変化が期待できるように思われる.ただし長期間の複合的なプログラムを実施する場やマンパワーが研究以外に確保できる可能性は残念ながら低いために,実際の現場で普及していくのは困難が大きい.そこで実装化の研究を経たうえで,デイケアで実世界の活動を目標として,複数の個々の介入を行うプログラムを有機的に組み合わせていく方式など,現在の医療体制のなかでも実現が可能な方法を模索する必要がある.
 丹羽らによる,empowered SST(e-SST)73)は,これまでの表出行動を改善するためのSSTを中核として,受信・処理行動を改善するための介入技術を,個々のケースの必要性に応じて取り入れることや,新たな認知・行動を学習するうえでの内発的動機づけの重要性を強調している.状況・本人の認知と行動・アウトカムという一連のつながりを本人との共同作業で探り,どう変えていけるか一緒に検討し,本人に選択してもらう.こうすることで,学習が定着しやすく,自ら日常生活で実施することが可能になる.当初SSTはエビデンスに基づく客観的なリカバリーをサポートするツールであったが,その有用性の模索のなかでパーソナルリカバリーを支援する視点を取り入れるようになったといえる.これは総合的なプログラムの例といえるだろう.
 総合的なプログラムは,スタッフのトレーニングが必要であり,忠実に行われないとその効果が担保されない.そして治験ではプロトコールに沿って均一な介入プログラムが求められることとは対照的に,実践の現場では,本人の志向や価値観を重視し個々のケースの評価に沿ってカスタマイズする必要がある.個別化が求められる点は,平均値を求める治験との違いである.こうした,エビデンスのあるプログラムをどう実装し普及していくかという課題が残されている.

3.環境支援の開発・普及が望まれる
 ケアしていく人たちへの支援も大きな発想の転換である.障害(disability)をもつ人ではなく,それを取り巻く人たちのコミュニケーションや態度を変えていこうとする考え方は,「誰でも暮らしやすい社会」「多様な個性が生きていける社会」であり,ノーマライゼーションの理念が前提となっている.この点もさらなるエビデンスや,実装と普及が課題となっている.

おわりに
 統合失調症はその影響が長い人生にわたってみられることや再発脆弱性から,継続的な治療が必要とされる一方で,病識のもちにくさや,精神障害をもつことへの深い不安や偏見などから,しばしば治療が中断されやすい.個別の生活・人生支援の目標のもと,積極的に関係性を維持し,社会機能の改善を重視することはそうした視点からも重要である.人の社会機能は極めて複雑な系であり,実験室のなかでの受信や処理という想定を超えて,その人なりの価値観や主体性を基盤にして,未来に向けた行動を選び取っていく51).そうした行動の基盤となる脳機能の解明とともに,統合失調症の人の生きづらさ・生活の困難に対処するための心理社会的介入を,本人の生き方に沿って展開していく必要がある.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

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