Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第1号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
教育講演
第113回日本精神神経学会学術総会
てんかんと精神症状―臨床と神経生物学的展望―
山田 了士
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学
精神神経学雑誌 120: 60-66, 2018

 てんかんのある人においては,気分障害,精神病性障害,不安障害などの精神疾患は頻度の高い臨床徴候であり,発作自体よりも生活の質に与えるインパクトが大きい.なかでも側頭葉てんかんでは精神病を合併するリスクが特に高い.また,攻撃性やGeschwind症候群と呼ばれる独特の臨床属性が精神症状を複雑なものにし,さらに抗てんかん薬による精神医学的副作用,あるいはてんかんのある人に独特の心理的苦痛といった因子もまた精神症状に大きな影響を与える.数多くの研究によって,てんかんと精神疾患,特にうつ病との双方向的関連性が示されており,こうした関連性に寄与する生物学的基盤を仮定するのは自然な流れである.視床下部―下垂体―副腎皮質系の機能異常,神経炎症,そして自己免疫による病態などの仮説が,この双方向的関連性を説明するものとして注目されている.

索引用語:てんかん, 精神病, 抑うつ, 抗てんかん薬, 生物学的基盤>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology