Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第9号

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特集 社会に向けてのアンチスティグマの発信
あさかホスピタルグループにおける共生社会実現に向けての展開
佐久間 啓
あさかホスピタル
精神神経学雑誌 119: 658-664, 2017

 あさかホスピタルでは平成14年に開始した「ささがわプロジェクト」において,長期在院者の退院支援,そして退院後の訪問看護,デイケアセンターによる医療とNPO法人による生活支援,就労支援を統合的に実践してきた.退院時,平均年齢約55歳の78人の統合失調症の患者は,退院後10年以上を経過して,その多くが地域生活を継続し,半分以上は一度も精神症状による再入院をすることなく経過していることは特筆すべきである.あさかホスピタルは,4法人と1会社があさかホスピタルグループとして有機的に連携し,統合的な地域支援,精神科急性期医療,精神保健,認知症,児童精神医療のそれぞれの領域において,地域に広がる包括的なケア体制を構築してきた.さらに,近年は,あさかホスピタルグループは医療福祉介護の枠を超えた地域共生事業を通して地域づくりをめざしている.農場で豚や鶏の卵,野菜を育て,パン工房,菓子工房,そしてレストランを運営し,就労の機会をつくりながら地域の理解を図っている.また,農場で子ども達のためのプログラムを行う,アール・ブリュット美術館でアートを展示する,あるいはピアサポーターが学校で授業を行うなど,障害理解のためのさまざまな活動を行っている.これら一連の展開を通して,精神科領域でのアンチスティグマの推進と,めざすべき共生社会の実現について考えたい.

索引用語:アンチスティグマ, 共生社会, 精神科地域移行, 地域包括ケア, 統合型精神科地域治療プログラム>
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