Advertisement第121回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第9号

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特集 地域移行と病床削減
「病床機能分化と地域移行」に関する学会員へのアンケート調査結果報告
精神医療・保健福祉システム委員会 病床機能分化班, 松原 三郎1), 安西 信雄2), 太田 順一郎3), 大森 哲郎4), 小髙 晃5), 佐藤 茂樹6), 佐野 威和雄7), 羽藤 邦利8), 三國 雅彦9), 山之内 芳雄10), 吉住 昭11), 渡辺 義文12)
1)社会医療法人財団松原愛育会松原病院
2)帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
3)岡山市こころの健康センター
4)徳島大学大学院医歯薬学研究部精神医学分野
5)宮城県立精神医療センター
6)成田赤十字病院精神神経科
7)医療法人社団正心会よしの病院
8)代々木の森診療所
9)函館渡辺病院
10)国立精神・神経医療研究センター精神保健計画研究部
11)医療法人社団翠会八幡厚生病院
12)山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野
精神神経学雑誌 118: 680-687, 2016

 精神保健福祉法第41条の「指針」の中の「病床機能分化」に関して,日本精神神経学会会員の意見を把握することを目的にアンケート調査を実施した.平成27年5月1~30日の間に学会ホームページに質問事項(9項目)を掲載し,回答者が特定されないよう,web上で回答を求める手法で調査を行った.862名(会員全体の5.3%)の回答が得られた.回答の動向をみると,賛成群が圧倒的に多かった(80%以上)質問項目は,「回復期入院治療を多職種で充実する」「重度かつ慢性患者については病状の程度に応じて処遇する」「地域移行は受け皿の整備状況を見ながら進める」の3項目であった.賛成群がやや多かった(55~62%)質問項目は,「急性期充実のために慢性期病床を削減する」「身体合併症・高齢者については病床転換型老健類似施設で処遇する」「病院内の人材を地域に移動させる必要がある」の3項目であった.反対群が賛成群よりもやや多かった(反対が47%程度)質問項目は,「慢性患者の症状評価は第三者機関で」「生活訓練施設は地域内に置くべきである」の2項目であった.アンケート調査によって各種問題に対する会員の意向を知ることができ,極めて有意義な調査であった.

索引用語:精神病床機能分化, 急性期精神科病床, 慢性期精神科病床, 病床削減, 病床転換型施設>

はじめに
 改正精神保健福祉法41条に示された「指針」1)は,今後のわが国の精神科医療の方向性を示すものとして重要な意味をもつ.特に,病床機能分化に関する事項として7項目が挙げられている.日本精神神経学会精神医療・保健福祉システム委員会では,すでに,これらの項目についての基本的な考え方を示したが(学会ホームページに掲載2)),委員会活動が一般会員の意見動向を把握しながら検討を進めることが重要であると考え,学会ホームページを利用して,web上で回答を求める手法を用いて広く会員に対してアンケート調査を実施した.本調査は,本学会倫理委員会の承認を得て行った.また,本調査内に含まれる個別の情報については,回答者との紐付けを一切行わず,個別の情報が特定できない形で集計・分析した.

I.方法
 平成27年5月1~30日の間に,学会ホームページ上にアンケート項目を掲載してweb上で送信して回答を求める方法をとった.質問項目は9項目とした.
 問1(以下,Q1と略する)では,回答した会員の属性について質問した.
 問2~9(Q2~Q9)では,いずれの質問項目においても,回答は,「①そう思う,②どちらかと言えばそう思う,③わからない,④どちらかと言えばそう思わない,⑤そう思わない」の5つから1つを選ぶように指示し,さらに,自由記載欄を加えた.回答者数は862名で,これは,全会員の5.3%に相当した.なお,本稿では,紙幅の関係から,自由記載欄の例はごく一部しか示せなかった.

II.結果
 1.Q1:回答者の属性
 ①勤務先「精神科病院47.0%,大学を含む一般病院精神科23.9%,精神科診療所20.0%,公的機関(保健所,精神保健福祉センター)3.9%,その他5.1%」,②勤務先の精神病床の有無「ある66.1%,ない33.9%」,③勤務先での立場「管理職55.9%,非管理職44.1%」,④精神科臨床経験年数「20年以上54.2%,10年以上20年未満31.2%,5年以上10年未満10.9%,5年未満3.7%」
 属性から回答者の傾向をみると,精神科病院勤務者が47%と多く,しかも20年以上の臨床経験をもつ管理職としての立場の医師が55.9%と多かった.すなわち,精神科病院の院長またはそれに準ずる人達が40%以上を占めているものと考えられる.しかし,それが公的病院か民間病院かについて回答は求めなかった.
  
 2.Q2:「指針では,入院医療のうち急性期(3か月以内)について手厚い人員配置を行い,これによって,短期入院中心の精神科医療に転換しようとしています.しかし,これを実現するためには,一定数の慢性患者の病床を削減する必要があるとの考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う26.8%,どちらかと言えばそう思う31.5%,わからない4.2%,どちらかと言えばそう思わない16.4%,そう思わない21.1%」であったが,これを賛成,反対の2群に大別すると,賛成群「そう思う+どちらかと言えばそう思う=58.3%」,反対群「どちらかと言えばそう思わない+そう思わない=37.5%」と賛成群が反対群を約21%上回っていた.自由記載欄では,「慢性期病床の削減を進めないと急性期病床の手厚い運営に必要な人員が捻出できない.財政的な問題からも,短期入院中心の積極的な医療体制を組むためには,慢性期患者については地域福祉への移行を進めざるを得ない」「入院の短期化は必要であることは間違いないが,特に地方部においては地域の受け皿は少なく,急性期後の治療,また慢性期から退院を促された場合,行き場がない現状では患者や家族の負担は大きい.むしろ受け皿が充実してくれば,必然的に退院が促進されていくと思う」という意見があった.
  
 3.Q3:「新たな長期入院者を作らないためには,急性期に続く回復期(4か月~1年未満)に現在よりも多くの人員を配置して,多職種チームが機能するようにすることが必要とする考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う40.9%,どちらかと言えばそう思う39.5%,わからない1.9%,どちらかと言えばそう思わない10.1%,そう思わない7.5%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:80.4%,反対群:17.6%」と賛成群が反対群を約63%上回っていた.自由記載欄では,「回復期こそ,再発予防のためのプログラムや退院支援のための介入が必要で,OT,PSW,心理技術者などの配置が必須である.また単に配置そのものを評価するだけでなく,こうした回復を支援する心理教育やSSTなどのプログラムについても評価されるべきである」「いくら,人数を増やしても,退院できない状態の患者の行き先を確保しなくては,退院するすべがなく,困るだけの状態である.退院の受け皿がどうしても必要である」という意見があった.
  
 4.Q4:「入院期間が1年を超えた人達については,第三者機関による適正な症状評価を行ったうえで,個々の精神科医療の必要度に応じた処遇をすべきであるという考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う18.6%,どちらかと言えばそう思う25.8%,わからない7.7%,どちらかと言えばそう思わない22.1%,そう思わない25.7%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:44.4%,反対群:47.8%」と反対群が賛成群を約3.4%上回っていた.自由記載欄では,「第三者機関の評価が入らなければ漫然と入院を続けるケースが増えることが考えられる」「毎日の患者を診ている医療従事者が,一番よくわかっていると思うから.第三者機関の人が,患者を短時間に評価できるか疑問」という意見があった.
  
 5.Q5:「重度かつ慢性のために入院の継続が必要と判定される患者もいます.病状の安定や退院にむけての治療を進めるための病棟には,病状に応じて適切な人員配置を行う必要があるとの考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う46.4%,どちらかと言えばそう思う35.4%,わからない5.6%,どちらかと言えばそう思わない8.9%,そう思わない3.7%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:81.8%,反対群12.6%」と賛成群が反対群を約69%上回っていた.自由記載欄では,「重度医療精神障害者は実際に一定数存在している.そのような集中的治療を受けるべき患者は「重度かつ慢性」の患者であると考える.かつて「重度かつ慢性」にあたる患者を集めた病棟で勤務していたことがあるが,医師もコメディカルも不足し,設備投資も他病棟に比べて遅れていた.そこに必要な資源を投入しなければそのような病棟は極めて劣悪な療養環境に成り下がることになるであろう」「重度かつ慢性のために入院の継続が必要な患者は,退院後の生活が成り立たないために入院しているのであって,病院でのマンパワーを確保しても効果的ではない」という意見があった.
  
 6.Q6:「精神症状が比較的軽症でありながら,慢性の身体合併症,あるいは高齢などのために地域での居住が困難となった患者もいます.このような患者に対し,例えば,老人保健施設類似の施設形態で処遇することが必要で,病床を転換して実施することも認めざるを得ないとの考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う26.3%,どちらかと言えばそう思う36.6%,わからない7.5%,どちらかと言えばそう思わない13.5%,そう思わない16.1%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:62.9%,反対群:29.6%」と賛成群が反対群を約33%上回っていた.自由記載欄では,「総合病院に勤務していますが,退院支援が難航するケースが散見されます.大体は,精神症状自体は決して重症でないものの,精神症状のために身体疾患の管理ができないケースです.しかも,施設からは精神症状や身体疾患を理由にお断りされてしまいます.病院併設の施設は理想的と思えます」「現在ある介護保険対応の施設でも十分退院後のフォローはできています.地域資源との連携に積極的になれば病床転換は必要がないです.病床転換論は入院ケア重視の従来型の考え方で,地域精神科ケアの成長を阻害する因子になると思います」という意見があった.
  
 7.Q7:「近い将来退院可能であっても一定の生活訓練等が必要な患者がいます.このような患者に対して,生活訓練をする施設が必要だが,そのために病床を施設に転換して使用することには賛同できない,生活訓練等は,あくまでも地域の中で行われるべきであるとの考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う19.6%,どちらかと言えばそう思う22.9%,わからない10.3%,どちらかと言えばそう思わない25.4%,そう思わない21.9%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:42.5%,反対群:47.3%」と反対群が賛成群を約5%上回っていた.また,「わからない10.3%」と多かった.自由記載欄では,「地域で生活するのであれば,生活訓練は地域の中で行われるべきであり,精神科病院が患者を抱え込んできた歴史的結果として精神科地域ケアが進展しなかったことを反省すべきである」「生活訓練は決して地域のみで簡単にできるものではありません.病院で仕事をした経験がある看護師などの職員も一定程度必要と考えます.病床を転換した訓練施設こそ一番活用できる可能性があると思います」という意見があった.
  
 8.Q8:「病床の削減が必要であっても,これを実現するうえで,地域内での受け皿(居住施設又は生活を支援するサービス)が整備される必要があり,これらの整備状況をみながら地域移行は段階的に進められるべきとの考えがあります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う58.5%,どちらかと言えばそう思う25.7%,わからない2.3%,どちらかと言えばそう思わない7.1%,そう思わない6.4%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:84.2%,反対群:13.5%」と賛成群が反対群を約71%上回っていた.自由記載欄では,「受け皿を用意せずに退院だけを進めるのは別の形で社会的な問題を引き起こすことになるというのは米国の事例からも言えると思います」「受け皿の整備を待っていて何もしないのでは何も変わらない.受け皿は,必要性があればすぐにできる.受け皿の充足を待っているよりも受け皿を作らなければならない事情を早急に作ることこそが必要だ」という意見があった.
  
 9.Q9:「今後,地域移行を進めるためには,病院勤務をしている人材を地域に移動させることが必要になります.この点について,お考えを教えてください」
 「そう思う28.3%,どちらかと言えばそう思う33.2%,わからない9.8%,どちらかと言えばそう思わない13.3%,そう思わない15.5%」であったが,賛成,反対の2群に大別すると,「賛成群:61.5%,反対群:28.8%」と賛成群が反対群を約33%上回っていた.自由記載欄では,「地域生活を続けるためには,アウトリーチによる援助が必要なのが現実です.従来型の病院の仕事をしているだけでは難しいと思います」「給与は,誰が支払うのでしょうか? 財源の確保,保証がないのに,誰が地域に行くのですか?」という意見があった.
  
 10.クロス集計分析
 1)主な勤務先による分析
 回答者の主な勤務先によって回答行動に相違がみられる.Q2の「急性期医療充実のために慢性期病床の削減」についての賛成群の割合は,精神科病院49.3%,一般病院67.2%,精神科診療所67.7%,公的機関65.6%と,一般病院勤務者(大学病院,総合病院)と診療所勤務者がほぼ同率で高く,精神科病院勤務者は50%以下にとどまっていた(図1).
 Q6の「高齢・身体合併症のための老人保健類似施設への病床転換」については,精神科病院60.4%,一般病院70.2%,精神科診療所60.4%,公的機関62.5%であり,一般病院(大学病院,総合病院)が最も高かった.Q7の「病床転換型生活訓練施設は地域の中に置くべき」では,この意見に賛成は,精神科病院40.6%,一般病院36.4%,精神科診療所51.2%,公的機関43.8%であり,実際に入院医療を担っている精神科病院・一般病院に勤務している回答者では反対群のほうが多かった.
 2)Q2「急性期医療充実のために慢性期病床の削減」の回答と他の項目の回答について
 Q2における「急性期医療充実のために慢性期病床の削減」について,賛成した群と反対した群とでは,以降の回答行動に差異が認められた.Q4「1年以上入院者の症状評価を第三者機関が行う」では,Q2賛成群では,62.0%が賛成であったのに対して,Q2反対群では,賛成は26.3%にとどまっていた.Q6の「高齢・身体合併症のための老人保健類似施設への病床転換」については,Q2賛成群は71.7%と高率に賛成しているのに対して,Q2反対群では60.6%にとどまっていた.Q7の「病床転換型生活訓練施設は地域の中におくべき」では,Q2賛成群では51.3%が賛成しているが,Q2反対群では41.4%の賛成にとどまっていた(図2).

図1画像拡大
図2画像拡大

III.考察
1.病床削減に関する基本的な傾向
 わが国の精神科医療は,精神科特例を背景として,医師をはじめとする職員配置が低い安価な医療が行われてきた.指針では,「急性期の患者に対して医療を提供するための機能:急性期に手厚く密度の高い医療を提供するため,医師,看護職員の配置について一般病床と同等を目指し,多職種による患者の状況に応じた質の高いチーム医療を提供する」と記載され1),急性期治療(3か月以内)の高密度化を図り,結果として,精神科特例の廃止をめざしている.これを実現するためには,病床機能を入院期間ごとに機能分化して,職員の再配置を図る必要がある.具体的には,長期慢性期病床の削減が求められている.
 Q2(慢性期病床削減)は,このような政策の方向性について意見を問うものである.
 結果は,賛成群:58.3%,反対群:37.5%で賛成群が反対群を約21%上回っていた.しかし,賛否の割合は,勤務先によって異なっている(賛成群は精神科病院49.3%,一般病院67.2%,精神科診療所67.7%,公的機関65.6%).一般病院勤務者(大学病院,総合病院)と診療所勤務がほぼ同率で67%と高いのに比して,精神科病院勤務者は50%以下にとどまっていた.これは,精神科病院勤務の回答者の多くが民間精神科病院勤務者であったことが影響していると推定される.
 この急性期病床の高密度化の方向は,回答者の多くに受け入れられているように思われるが,Q8(受け皿の整備状況をみながら地域移行は段階的に進めるべき)での回答は,「賛成群:84.2%,反対群:13.5%」と賛成群が反対群を約71%も上回っていた.このことは,回答者の多くが,地域医療の整備を行ったうえでの病床削減・地域移行を強く求めていることを示すものである.

2.回復期と慢性期病床の機能改善
 回答者の多くは,病床機能の改善が急性期だけにとどまることなく,回復期や慢性期病床の機能の改善を求めていることがアンケートの結果,明らかとなった.Q3では,回復期における多職種チーム医療の導入を,回答した5.3%の会員のうちの80.4%もの会員が求めており,また,Q5では,81.8%が「重度かつ慢性」の人達について,病状に応じて適切な人員配置を行うことを求めている.この2点は指針の中には記載されていないものであるが,入院医療の現場では従来から問題視されていたものが明確に示されたといえる.

3.病床転換施設の可能性
 Q6では,「高齢・身体合併症患者のための病床転換型施設」について意見を求めているが,賛成群は62.9%である.賛成群では一般病院(大学・総合病院)勤務者が多く,身体合併症の治療にあたっている入院医療機関ではニーズが高いものと考えられる.しかし,それでも,介護保険施設を利用すべきであるという意見もあったことは尊重しなければならない.Q7では「生活訓練を行う病床転換型施設」について意見を求めているが,賛成群は42.7%にとどまっており,賛成群の主体は精神科病院勤務者で51.2%であった.このことは,民間精神科病院での利用ニーズがあり,その具体的内容について調査する必要がある.Q6,Q7のいずれにおいても,今後,一般会員を含めて広く議論する必要がある.

4.症状評価の課題
 Q4では,「1年以上入院患者の精神症状評価を第三者機関が行う」ことについて意見を求めたが,賛成群は33.5%にとどまっている.その理由として,「第三者機関の人が,患者を短時間に評価できるか疑問.第三者機関をどこに設けるのか.しかも,その構成や権限が不明」などが記載されている.できるだけ公平に正確に,そして,多くの了解が得られる症状評価の方法を今後検討する必要がある.

おわりに
 ①今回のアンケート調査は,賛否を求めるのが目的ではなく,会員諸氏の考えの傾向を直接把握するのが目的であった.その点では,回答者の貴重な意見を知ることができた.②比較的賛成の意見が多かった項目はQ3,Q5,Q8,Q9,比較的反対意見が多く,意見にバラツキが多かった項目はQ4,Q7であった.③「地域での受け皿の整備なしに性急な退院を促進をするのではなく,受け皿の整備をすすめながら段階的に地域移行をすすめるべきである」との意見が回答者の多くであったが,他方では,「先に受け皿から議論していては,いつまでも病床削減はすすまない」という意見も尊重しなければならない.今回の調査では,回答者の多くが病床削減の必要性を認めながらも,性急な削減をすすめる前に地域の受け皿(居住施設や支援体制)の充実を求めていることは特に重視しなければならない.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

 謝 辞 アンケート調査にご協力をいただいた会員諸氏に深く感謝します.

文献

1) 厚生労働省: 良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針. 平成26年厚生労働省告示第65号. (http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei_seisin/dl/kokuji_anbun_h26_01.pdf) (参照2016-08-18)

2) 日本精神神経学会: 改正された精神保健福祉法についての学会見解. 2014. (https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/20140719.pdf) (参照2016-06-13)

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