Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第5号

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特集 精神科専門医に求められる資質について
新たな精神科専門医制度と認定試験
根本 隆洋
東邦大学医学部精神神経医学講座
精神神経学雑誌 118: 339-343, 2016

 日本精神神経学会による精神科専門医制度が2004年に発足し,2006年から制度のもとでの後期研修が開始され,2009年から新規認定試験が実施されてきた.一方で,わが国の専門医制度は学会間で制度設計に差異があり,その標準化が課題であった.専門医制度改革が求められる中で,2014年に日本専門医機構が発足し,2017年から新たな専門医制度のもとでの研修が開始されることとなり,本学会においても準備を進めている.新たな制度においては「研修プログラム」を基盤に専門医の育成を行うとされ,専門研修基幹施設が中核となり研修施設群を形成し,専門医資格取得までの全過程を教育的に支援する.本学会の専門医試験委員会は,精神科専門医認定試験の実務,運営を担当している.認定試験は専門的知識,専門的技能,医師として備えるべき態度にかかわる研修目標の達成度を総括的に把握し,研修プログラムの修了判定を行うもので,筆記試験およびケースレポート内容も含む口答試問からなる.新たな制度のもとで専門医のめざすところは,「社会から信頼される安全で標準的な医療を提供できる」ことであるとともに,「専門医でなければ対応困難な重症・複雑な症例の適切な治療を行える」ことでもあると考えられ,技能や態度の評価と判定を行う口答試問の役割は重要である.しかし,時間的および人的制約が多い認定試験の現状を踏まえると,技能や態度の客観的で的確な評価を各研修プログラムの中で定期的に実施していくことも検討するべきではないかと考えられる.今後,他の診療領域における認定試験の様子もみながら,様々な意見をもとに議論を深めていく必要があろう.

索引用語:専門医, 精神科専門医, 認定試験>
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