Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第11号

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特集 BPSDは誰が診るのか? 誰が診られるのか?
日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」からみえてくるもの
水上 勝義
筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻
精神神経学雑誌 118: 841-844, 2016

 「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(日本老年医学会)は,75歳以上の高齢者あるいは75歳未満でもフレイルあるいは要介護状態にある高齢者に対して,非専門医が薬物療法を行う際の安全性に主眼を置いたガイドラインである.2015年4月ガイドライン(案)が発表になると各学会からの意見をふくめパブリックコメントが多数寄せられ,特にBPSDに対するコメントが多かった.日本老年精神医学会からも,リストが「スクリーニングツール」あるいは「チェックリスト」として作成されていることを明確にすること,従来のガイドラインとの整合性に配慮すること,重度のBPSDの対処方法や指針について検討することなどの指摘があった.これらの指摘を踏まえてリストの名称は「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」に変更され,またサマリーや解説の内容についても見直し作業が行われた.今回のパブリックコメントでは,かかりつけ医をはじめ精神科医以外の医師から抗精神病薬に関する多くの意見が寄せられた.本来重度のBPSDは,かかりつけ医と精神科医の連携のもと,精神科医が抗精神病薬を適切に使用すべきであるが,かかりつけ医もBPSDの重症例を治療している現状が示され,今後の課題が明らかになったともいえる.

索引用語:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015, 行動・心理症状, 薬物療法, 抗精神病薬>
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