Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第2号

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特集 rTMS の国内導入の展望と課題
抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対する経頭蓋反復磁気刺激療法のわが国における適正使用をめざして
三國 雅彦
国際医療福祉大学病院精神科
群馬大学大学院医学系研究科
精神神経学雑誌 117: 120-125, 2015

 経頭蓋反復磁気刺激療法(rTMS)は精神科領域では抗うつ薬治療抵抗性のうつ病に対する新規療法として注目され,欧米においては日常診療に応用されているが,rTMSは電磁誘導の法則により誘導される電流で大脳皮質を直接刺激する装置であり,健康器具と称して,自由診療下で使用されることが許容される機器ではない.本稿では厚生労働省の未承認医療機器の早期導入のための検討会などでのrTMSに関する検討経過と,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による指導内容にふれながら,rTMSをめぐる最近の研究動向,特に,メタ解析の結果や客観的脳機能解析からみたrTMSの有用性の解明研究の結果を展望した.わが国へのrTMS療法の導入を実現するためには,rTMSのプラセボ効果をはるかに上回る有効性を,うつ症状の臨床評価とともに,客観的な脳機能マーカーを用いて証明することができるかにかかっていると考えており,精神科医が行政の理解と支援を得て,その実現に一致して努力することが肝要であることについて論じた.PMDAの承認を得て後,保険診療としてのrTMS療法を,適切な対象に,日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会が作成中のrTMS療法の運用マニュアルにしたがって実施する経験を積み重ね,より有効にする工夫もし,徐々に簡便化し,汎用性の高い治療に育てていくことが求められている.

索引用語:経頭蓋反復磁気刺激療法, 抗うつ薬治療抵抗性うつ病, 修正型電気けいれん療法, 脳画像解析>
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