Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第12号

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特集 死にゆく患者/遺族に対する精神療法的接近
遺族ケア
大西 秀樹, 石田 真弓, 棚橋 伊織
埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科
精神神経学雑誌 117: 995-1003, 2015

 死別は人生最大のストレスであり,遺族の心身にさまざまな影響が及ぶ.身体面では身体疾患の悪化,死亡率上昇,精神面では自殺率・うつ病罹患率上昇,社会面では対人関係の変化などが認められる.したがって,援助を必要とする遺族に対して適切な介入が必要である.遺族はさまざまな苦悩を抱えているので,評価は悲嘆の問題を扱うだけでは不十分であり,心理・精神,身体,社会面など多方面の評価が欠かせない.介入は後治療(postvention)という概念で示される.介入は一般の人が行うケアからメンタルケアの専門家による精神科治療までさまざまである.死別はうつ病発症における最大の危険因子だが,死別後のうつ病は見逃されることが多いので注意が必要である.援助は医療関係者のみでなく社会でも行われるので,社会の中でも遺族ケアの知識をつけることが欠かせない.十分な知識に基づかない援助は遺族を傷つける結果になる(unhelpful support)ので注意が必要である.

索引用語:がん, 遺族ケア, 後治療>
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