Advertisement第117回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第11号

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特集 精神疾患をもつ女性の妊娠・出産を支えよう
てんかんのある女性の妊娠・出産を支えるには?
渡辺 雅子1)2), 本多 正幸1)3)
1)国立精神・神経医療研究センター
2)新宿神経クリニック
3)東京大学大学院医学系研究科
精神神経学雑誌 117: 918-927, 2015

 てんかん治療中の女性は,常に社会の偏見にさらされながら,妊娠・出産・育児という女性としての社会的な役割を果たすことについて不安を抱いている.それに対して支援を送るには精神科医,特に女性精神科医は適している.肝要なことは,①妊娠前カウンセリング,②妊娠中の管理,③分娩に際しての患者と産婦人科医へのサポート,④育児のコツの指導である.①妊娠前カウンセリング:妊娠する権利があることを保証する.抗てんかん薬の催奇形性について最新のデータを提供し,妊娠前からなるべく安全性の高い抗てんかん薬の組み合わせに変更する.妊娠に向けて妊娠前から葉酸の服用を始めていただく.これらは,夫にも理解していただく.②妊娠中の管理:妊娠中も定時服薬は欠かさないことが妊娠中の発作再発を防ぎ,流早産も防ぐ.抗てんかん薬によっては,むしろ中期以後は増量する必要があることもある.③分娩に際しての患者と産婦人科医へのサポート:患者のみでなく,分娩を受け持つ産婦人科医もハイリスク患者として不安を抱いている.基本的には自然分娩が可能であることを説明し,万が一発作が起きたときの対処方法を伝えておく.④育児のコツの指導:基本的には授乳は可能である.授乳による睡眠不足を避けるためには,夫や実母などが夜間のみ人工乳を与えるなどの支援をするのもよい.人が人を産み育てることは,人がなす最も重要な行為であり,それが疾病によって妨げられないように配慮することは医師としての使命である.てんかんの患者は自己評価が低いことが多く,女性の場合はさらに顕著である.しかし,出産を経験すると,見違えるように積極的になり情動も安定することが多い.子育ての苦労は人をさらに成長させ,人生に対しての洞察を深め人格的な成長にもつながることを医師は認識していることが必要である.

索引用語:女性, てんかん, 妊娠, 出産, 育児>
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