Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第4号

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特集 精神保健福祉法の今後を展望する―保護者制度の廃止を見すえて―
医療保護入院制度の今後
福生 泰久
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課
精神神経学雑誌 116: 289-297, 2014

 平成25年6月13日に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律(以下,改正精神保健福祉法)が成立した.今回の改正精神保健福祉法の要点は,以下のとおりである.
 ・保護者制度は,廃止することとする.
 ・医療保護入院における保護者の同意要件を外し,家族等(配偶者,親権者,扶養義務者,後見人又は保佐人.該当者がいない場合等は,市町村長)のうちのいずれかの者の同意を要件とする.
 ・精神科病院の管理者に,次の3つの義務を課した.①医療保護入院者の退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う者(精神保健福祉士等)の設置.②地域援助事業者(入院者本人や家族からの相談に応じ,必要な情報提供等を行う相談支援事業者等)との連携.③退院促進のための体制整備.
 ・退院等の請求に関して,精神医療審査会に対し,退院等の請求をできる者として,入院者本人とともに,家族等(その家族等がない場合又はその家族等の全員がその意思を表示することができない場合にあっては,その者の居住地を所管する市町村長)を加え,家族等であっても退院の請求が行えるよう規定した.
 ・精神障害者の地域生活への移行を促進するため,精神障害者の医療の提供を確保するための指針を策定することとし,精神科医療の充実を図っていくこととする.
 ・精神医療審査会の委員として,「精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者」を明記した.
 ・今回の改正精神保健福祉法は,法施行後3年を目途として,施行の状況や臨床現場の状況を勘案し,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置を講ずる.
 本稿は,平成25年5月24日,日本精神神経学会で話した,保護者制度に関する規定の削除,医療保護入院の見直しを主とした.

索引用語:精神保健福祉法, 保護者制度, 医療保護入院>
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