Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第1号

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特集 ICD-11とDSM-5の最新動向と国際的な診断基準の問題点
ICD-11プライマリ・ケア版の動向―新たな診断カテゴリ導入の可能性―
中根 秀之
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻リハビリテーション科学講座精神障害リハビリテーション学分野
精神神経学雑誌 116: 61-69, 2014

 現在,2015年の総会での承認に向けてICD-11の改訂作業が進行している.精神科領域においてICD改訂の影響は重大であると考えられる.プライマリ・ケアとの連携を考える上で,現在作成されているICD-11-PHCのドラフトの動向に注目した.ICD-11-PHCの改訂については,一般医療においてみられるコモンメンタルディスオーダーに密接に関連した分類であること,身体疾患と精神疾患の間における“co-morbidity”を検討すること,さらにコモンメンタルディスオーダーの治療を要する事例であるか否かあるいは,重症度の評価が行えることを目的にしている.ICD-11-PHCドラフトは,28のカテゴリとその詳細な臨床記述から構成されている.現段階のICD-11-PHCドラフトは,ICD-10-PHCに比べカテゴリ数が増加した.神経衰弱,恐怖症性障害やパニック障害などの不安障害は削除されている.一方で,自閉症スペクトラム,PTSD,パーソナリティ障害などの新たな診断カテゴリが導入されている.さらに,anxious depressionとbodily stress syndrome,健康不安や持続性精神病性障害などの呼称変更が提案されている.我々は,このような新たな診断概念について知り,今後現れるICD-11へ理解を深めていくことが必要であると思われる.

索引用語:ICD-10-PHC, ICD-11-PHC, anxious depression, bodily stress syndrome, プライマリ・ケア>
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