Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第1号

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特集 ICD-11とDSM-5の最新動向と国際的な診断基準の問題点
ICD-11の直近の動向―線形構造(Linear Structure)草案を中心に―
丸田 敏雅
東京医科大学精神医学講座
WHO「ICD-10精神および行動の障害」改訂のための国際アドバイザリーグループ日本政府代表
精神神経学雑誌 116: 46-53, 2014

 今回,ICD-11の2013年5月22日現在の線形構造(Linear Structure)草案が発表されたので,それについて概説した.この線形構造草案での大きな変更点は,「睡眠障害」と「性関連障害」は「精神および行動の障害」には含まれないことになった点である.つまり,WHOは「睡眠障害」と「性関連障害」を精神障害と見なさないことになった.また,認知症も症状はこの線形構造草案には分類されているが,アルツハイマーや脳血管性などの認知症そのものの分類は「精神および行動の障害」には含まれないことになった.線形構造草案の大分類で分類されているのは,神経発達障害,会話と言語の障害,統合失調スペクトラムおよび他の一次性の精神病性障害,カタトニア,双極性および関連障害,抑うつ性障害,不安および恐怖関連障害,強迫性および関連障害,ストレスと特に関連する障害,解離性障害,身体苦悩性障害,および他のどこにも分類されない障害や疾病と関連する心理的および行動的な因子,哺育および摂食障害,排泄障害,物質中毒,物質の有害な使用,物質依存,物質離脱症候群,物質誘発性精神および行動の障害,衝動制御の障害,破壊的行動および非社会的障害,パーソナリティの障害,パラフィリア,虚偽性障害,神経認知障害,および他のどこにも分類されない障害や疾病で精神および行動の障害に関連するものの25の上位カテゴリーである.また,WHOは臨床実践グローバルネットワーク(GCPN)というネットワークを構築し現在作業を進めているが,これについても紹介した.

索引用語:ICD-11, 診断分類, 診断基準>
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