Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第6号

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特集 総合病院で遭遇する精神科・精神医療に対するスティグマをどう解決したらいいか―長期的観点から―
医療スタッフにおける精神疾患に関するスティグマのメタ解析のミニレビュー―精神科以外のスタッフに焦点を当てて―
山口 創生, 岩永 麻衣
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部
精神神経学雑誌 126: 391-398, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-065

 精神疾患に関するスティグマは,精神科以外の医療スタッフにもみられる国際的な課題とされており,これまで研究知見が蓄積されてきた.本稿は,主として精神科以外の医療スタッフを対象としたスティグマに関するメタ解析を実施した系統的レビューを概観し,国際的動向を整理することを目的とした.PubMedおよび手動検索で関連文献を検索した結果,メタ解析を実施した4レビュー論文が選定された.2つのメタ解析の結果から,医療スタッフにおける精神疾患に関するスティグマは徐々に改善されている傾向にあるが,総合病院の医療スタッフは,特に統合失調症や薬物・アルコールなどの物質使用障害の当事者に対して否定的な態度をとりやすいことが示唆された.アンチスティグマ介入に関する2つのメタ解析は,ロールプレイ,音声シミュレーションなどの模擬訓練や社会的接触を含むアンチスティグマ介入が,スティグマの軽減に寄与する可能性を報告していた.他方,各メタ解析は,精神科医療スタッフや心理師などを調査対象とする個々の研究を含めて分析していた.したがって,本稿では,精神科以外の医療スタッフだけに焦点をあてたスティグマの程度や効果的な介入を把握することは困難であった.また,アンチスティグマ介入の長期効果は未検証であり,一度の介入における効果の持続性については明らかになっていない.将来の研究がこれらの課題に取り組むことを期待したい.

索引用語:アンチスティグマ, 差別, 精神科以外の医療スタッフ, 偏見, ミニレビュー>
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