Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第6号

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特集 総合病院で遭遇する精神科・精神医療に対するスティグマをどう解決したらいいか―長期的観点から―
精神疾患に対するスティグマへのアクセプタンス&コミットメント・セラピーによる介入の取り組み
津田 菜摘
同志社大学心理学部
精神神経学雑誌 126: 384-390, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-064

 精神疾患に対するスティグマは,これまで知識向上をめざす心理教育や,当事者との接触を中心とした介入手法によって軽減が試みられてきた.しかし,すでに知識や接触経験を有している医療従事者などの支援者がスティグマを有する場合,従来の手法をそのまま援用することは難しいと考えられる.また,特定の集団をひとまとめにしてスティグマをもつということは,きわめて自動的なプロセスであるため,一部の心理教育に内包されるような,スティグマを抱かないようにする,異なる考えで置き換えるといった方法は実行することが非常に難しい.本稿では新たなアプローチ方法の1例としてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)による集団アプローチを取り上げる.ACTは,心理的柔軟性と呼ばれる健康モデルの増加を全般的目標とした第3世代の認知行動療法である.ACTによるスティグマ介入では,対象者自身がもつスティグマをはじめとする否定的な思考に気づかせ,それらに左右されずに対象者自身の価値(重要な人生の方向性)に沿った行動選択を促す.それによって,スティグマをはじめとする否定的な思考自体の消去に時間を費やすことなく,行動変容をめざすことが可能になる.本稿では,諸外国の先行研究や本邦において著者が大学生を対象に実施した先行研究を挙げたうえで,その利点や限界点について述べる.

索引用語:スティグマ, アクセプタンス&コミットメント・セラピー, 心理的柔軟性>
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