筆者は医療リワークプログラムを行う中で成人自閉症スペクトラム障害(ASD)者に特化した治療プログラムの必要性を感じ,SSTとサイコドラマからなるMutual Communication Program(MCP)というものを立ち上げた.3年間の実践の中で,MCP参加者は66名で,55名が終結した.そのうちの32名が復職し,調査時点で就労を継続していた者は30名(93.8%)で,各種心理検査でも有意な改善が認められるなど良好な結果を得た.そこで,このプログラムの特徴であるサイコドラマについて説明し,症例を提示してその有用性について考察を加えた.サイコドラマはASDの特性などを考慮した際,非常に有効な援助技法である可能性が示唆された.
医療リワークプログラム内で行う成人発達障害者支援―Mutual Communication Programとサイコドラマ―
医療法人社団心劇会さっぽろ駅前クリニック北海道リワークプラザ
精神神経学雑誌
117:
212-220, 2015
<索引用語:医療リワークプログラム, 成人発達障害者, Mutual Communication Program, サイコドラマ, SST(Social Skills Training)>