精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 3-11頁
山梨 豪彦,篠崎 元
難治性てんかんに対する脳切除術を受けた患者の手術前後の血液を集め,DNAメチル化レベルをゲノム網羅的に測定した.術後せん妄症例と非術後せん妄症例の手術前後のメチル化の変化度合いを比較したエンリッチメント解析において,免疫反応,炎症反応をはじめとするせん妄の病態生理に関連すると考えられるシグナルに違いがあることが示された.
総説 | 12-19頁
飯田 香緒里
近年の国際的な競争環境の中で,産学共創による取組・大学発ベンチャーの起業はこれまで以上に加速することが予想される.とりわけ,健康医療・バイオ分野の発展に,産業界から医療系アカデミア・医療系研究者等に寄せられる期待は大きい.本稿では,産学連携活動や研究者の起業活動等の信頼性確保に重要な役割を果たす利益相反管理の目的を振り返りながらそのあり方を紹介していく.
北海道大学病院精神科神経科通院中に自殺企図した精神疾患患者を対象に,COVID-19流行下特有の自殺の危険因子および自殺関連行動の特徴を明らかにする目的で後方視的調査を実施した.COVID-19流行前には過量服薬と縊首の割合が高かったが,COVID-19流行下では過量服薬と縊首の割合が減少し,自殺企図手段の多様化が認められた.
特集 | 30-56頁
新宮 一成,高橋 恵,新村 秀人,吾妻 壮
本特集では,「日常臨床における精神療法的アプローチ―時間的制約のなかで何ができるのか―」というテーマのもと,「時間の区切れのなかに精神療法的関係性の本質を潜ませる」,「精神科外来で社会生活スキルトレーニング(SST)の考え方や技法を利用した試み」,「悪循環を打破する逆説的介入」,「時間的制約のなかで何ができるのか―精神分析的観点から―」について論じる.

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