精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

2018年改訂のICD-11でcomplex PTSDが採用され,児童期に逆境体験に曝されてきた子どもや成人のトラウマやアタッチメントの理解,そして診断や治療の分野に大きな関心が集まっている.著者は児童虐待の最前線に身をおいているが,日々感じることは,こういう問題を抱えている人たちのことを十分に理解し対応してほしいということである.
原著 | 116-128頁
今村 扶美,竹林 由武,伊藤 正哉,出村 綾子,松本 俊彦,平林 直次,鬼頭 伸輔,堀越 勝
公認心理師の雇用と業務との関係を明らかにするため、826施設が回答した心理職の人数や業務に関するデータを分析した.その結果,心理業務は10因子に集約され,全業務で常勤の増加が遂行度を有意に上げる一方で,非常勤の増加は一部のみ関係した.複数名の常勤配置及び非常勤の常勤化により,専門的・発展的な心理支援の拡充や組織貢献が高まる可能性が示された.
特集 | 129-150頁
衣笠 隆幸,木村 宏之,齊藤 幸子
本特集では,「これからの精神医療における精神分析的精神医学の役割」というテーマのもと,「日本精神分析的精神医学会の活動」,「リエゾン精神医学における精神分析的精神医学」,「精神分析的精神療法の効果についての画像研究」について論じる.
21世紀の「精神医学の基本問題」―精神医学古典シリーズ― | 151-157頁
黒木 俊秀,古茶 大樹,西岡 和郎
本号より若い世代の本学会員のために,近代精神医学史上の主要人物とその業績を紹介する「21世紀の『精神医学の基本問題』―精神医学古典シリーズ―」と題するシリーズの連載を始める.連載の開始にあたって本シリーズで取り上げる各人物の精神医学史上の位置づけを解説した.近代精神医学の黎明期より記述精神医学と力動精神医学という2つの系譜が存在した.
21世紀の「精神医学の基本問題」―精神医学古典シリーズ― | 158-166頁
古茶 大樹
Schneider, K. の『臨床精神病理学』はハイデルベルク学派の思想の集大成である.科学技術の進歩した今日においてもなお本書に重要な意義を見出すことができるのは,精神医学と身体医学との本質的な違いを見失うことなく,臨床精神病理学を論じているところにある.彼の生涯,本書の歴史,注目すべきポイント,米国で浸透しなかった理由、そして今日的な意義の順に論ずる.

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