精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

資料 | 469-487頁
秋山 剛,神尾 陽子,吉田 友子,福田 真也,田川 杏那,増田 紗弓,高橋 秀俊,ピーター・バーニック,尾崎 紀夫
自閉スペクトラム症の行動特徴がみられるリワークプログラムの対象者への支援の手引きの有用性調査を行った.現在の自閉スペクトラム症に関する診断基準は,小児期の構造化された状況では大きな不適応を示さないが,成人後に不適応を生じる場合の診断について考慮していない.今後,自閉症の専門家と成人後の支援を担当するスタッフが協力を進める必要がある.
特集 | 488-513頁
松木 邦裕,布施 泰子,渡辺 俊之,吾妻 壮
本特集では,「精神科臨床における聴きかたと尋ねかた」というテーマのもと,「精神科医になるための聴き方」,「社会構成主義的な精神療法におけるオープンクエスチョン」,「家族に会うことの意味」,「精神療法の場で患者らしさを引き出す方法―関係性に焦点をあてて―」について論じる.
第113回日本精神神経学会学術総会 教育講演 | 514-520頁
平島 奈津子
適応障害の診断基準にはストレス因との時間的な因果関係の記載以外に症状に関する記載がないことや,「他の精神疾患の基準を満たしていない」とする条件などから他疾患との異同が議論となるが,特にうつ病との鑑別は重要である.治療では,ストレス因に対する主観的な意味づけを理解した上での対応を心がけ,疾病利得による慢性化を招かないように留意する.
連載 精神科多職種チームの協働 | 521-528頁
林 亜希子
看護師は精神科疾患とつきあいながら地域で暮らす人々に寄り添い,「本人のリカバリーの感覚を重視し,本人の夢に向かって,本人が活用できる強みに注目し,本人を力づける看護実践」を続ける.本人の持ち味や強みを伝え,対処の選択肢を広げ,試行錯誤を応援していくプロセスを通じてパートナーシップを築き,本人が願う暮らしの実現をめざして伴走する.
連載 精神科多職種チームの協働 | 529-536頁
松村 麻衣子
入院治療おいて,看護師が患者の生活援助を行う姿は他職種の目にもふれやすいが,看護師が何をみて,どう判断し,支援を組み立てているかというプロセスはみえにくい.看護の専門性を明確にし,他職種との協働を促進するためには,この過程を可視化し,共有する必要がある.また,看護がこれまで積み上げてきた“安全を守る”ノウハウも併せて共有していきたい.

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