Advertisement第114回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第6号

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資料
自閉スペクトラム特性を有する患者へのリワーク支援の手引きの作成と有用性調査
秋山 剛1), 神尾 陽子2), 吉田 友子3), 福田 真也4), 田川 杏那5), 増田 紗弓6), 高橋 秀俊2), ピーター・ バーニック7), 尾崎 紀夫8)
1)NTT東日本関東病院精神神経科
2)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部
3)子どもとおとなの心理学的医学教育研究所
4)あつぎ心療クリニック
5)公益財団法人神経研究所
6)上智大学大学院総合人間科学研究科
7)長崎大学障がい学生支援室
8)名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野
精神神経学雑誌 120: 469-487, 2018
受理日:2018年2月9日

 自閉スペクトラム症の診断を受けていない成人の自閉スペクトラム特性についての評価や支援が,臨床的に重要な課題として提起されている.自閉スペクトラム症の行動特徴である,①対人的相互作用の障害,②コミュニケーションの障害,③想像力の障害と変化抵抗および反復的活動がみられるリワークプログラムの対象者への支援の手引きを作成し,有用性調査を行った.作成にあたりリワークプログラムのスタッフ,発達障害の専門家から情報収集を行った.手引きではリワークプログラムのスタッフによる診断を戒め,自閉スペクトラム症,発達障害に関する過剰診断が生じないように配慮するとともに,対象者に個別面接を行い,自己理解や自己認知を支援するよう勧めている.28施設のスタッフを対象にリワークプログラムの有用性調査を行い,26施設,27名のスタッフから回答を得た.「手引きのわかりやすさ」「対象のわかりやすさ」「診断にかかわらない支援の可能性」「スタッフへの有用性」「患者への有用性」「職域への有用性」について4件法で評価を行った.評価の平均は,3.37,3.31,3.04,3.22,3.08,2.85であった.手引きの内容や対象の患者はわかりやすく,スタッフの支援はやりやすくなるが,患者への有用性についてはやや疑問があり,診断にかかわらない支援は容易とはいえないという反応と思われた.職域との協働については,他の資料が必要とも考えられる.現在の自閉スペクトラム症に関する診断基準は,小児期の構造化された状況では大きな不適応を示さないが,成人後により高いストレスに曝されたときに不適応を生じる場合の診断について考慮していない.自閉スペクトラム特性をもつ成人が経験する困難については,小児期の自閉症を扱う専門家も経験に乏しく,今後,自閉症の専門家とリワークプログラムのスタッフなど成人後の支援を担当するスタッフが協力を進める必要がある.

索引用語:リワークプログラム, 再発予防, 自閉スペクトラム特性, 自閉症, 職場ストレス>
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