精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 255-261頁
藤野 陽生,住吉 チカ,安田 由華,山森 英長,藤本 美智子,福永 雅喜,三浦 健一郎,竹林 佑人,岡田 直大,磯村 周一,河野 直子,豊巻 敦人,久我 弘典,磯部 昌憲,大矢 一登,岡久 祐子,髙木 学,橋本 直樹,加藤 正樹,鬼塚 俊明,上野 雄文,大沼 徹,笠井 清登,尾崎 紀夫,住吉 太幹,井村 修,橋本 亮太,COCORO
我々は446名の統合失調症患者にWAIS-III,知的機能の簡易評価(JART)25項目版を実施し,現在の知的能力と病前推定知能の差から認知機能障害スコアを算出した.統合失調症患者の推定認知機能障害スコアの平均は-16.3であった.本研究により,統合失調症患者における認知機能障害の程度と分布が明らかとなった.
特集 | 262-301頁
入谷 修司,國井 泰人,松本 純弥,長岡 敦子,日野 瑞城,丹羽 真一,矢部 博興,寺田 整司,横田 修,竹之下 慎太郎,三木 知子,山田 了士,河上 緒,大島 健一,新里 和弘,吉田 眞理
本特集では,「精神科臨床と脳病理―精神科ブレインバンクへの期待―」というテーマのもと,「臨床精神医学と脳研究―日本版精神科ブレインバンクへの期待―」,「生前登録制度に基づく精神疾患ブレインバンクの実践―当事者と研究者が協働する研究体制とは―」,「剖検例を対象として,老年期の精神病性障害における器質性病変を評価する」,「精神医学における臨床神経病理の歴史的意義と今後のめざすべき方向性」,「精神科臨床に役だつ神経病理学の知識」について論じる.
第113回日本精神神経学会学術総会 会長講演 | 302-312頁
尾崎 紀夫
当事者・家族から寄せられる要望に応えるべく研究を実施してきた.研究成果を得るためには,多様な志向性をもったphysician scientistと,研究を理解する臨床医の育成が肝要である.本論では,これまで著者が実施してきた,日々の臨床疑問の解決とともに,病因・病態の解明をめざした研究について振り返り,今後の方向性について言及した.
第113回日本精神神経学会学術総会 教育講演 | 313-320頁
池淵 恵美
統合失調症の認知機能障害の直接的な改善をめざす認知機能リハビリテーションは,これまでの効果研究で改善効果が実証されており,わが国でも追試や独自のプログラムが開発されている.パソコンゲームが使われることが多く,仮想現実でのトレーニングによる利点がみられる.エビデンスのある援助付き雇用と組み合わせることで,一般就労率が改善するとの報告がある.
連載 精神科多職種チームの協働 | 321-327頁
秋山 剛,尾崎 友里加,ピーター・バーニック
精神科多職種チームに関する論文発表は,わが国では,世界の動きに遅れ2011年以降に活発化している.テーマとしては,世界では関心が一段落した地域精神医療が現在なお活発な関心の的である.最近「コンサルテーション・リエゾン」での多職種協働への関心が高まっているが,「マネジメント」「リカバリー」といったテーマへの関心は,なお十分ではない.
連載 精神科多職種チームの協働 | 328-335頁
山本 賢司
精神科医が関与する医療チーム,プロジェクトや委員会を整理し,さらに総合病院で組織される医療チームの活動について論述した.医療チームには精神医療スタッフが主導的に組織するもの,他科や病院が組織して精神医療スタッフが定期,不定期に参加するものなどがある.これらは,目的である医療の質の向上や医療安全の確保などを達成するために重要である.

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