精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

総説 | 657-669頁
池淵 恵美
統合失調症の短期予後は薬物療法や地域ケアの向上により回復する人が増えているが,長期予後で客観的リカバリーを示す人はこの100年で大きな変化が見られない.ただし障害者雇用などの成果で社会参加は増加している.発症前に社会適応が悪かった人は発症によりさらに機能が低下し,支援によって短期的に改善しても長期には再び低下し,疾患の経過を改善できていない.
特集 | 670-701頁
林 輝男,山口 創生,吉村 優作,坂田 増弘
本特集では,「精神障がい者の就労支援はどうあるべきか―IPS個別就労支援からの学び―」というテーマのもと,「Individual Placement and Support(IPS)―その開発と導入の経緯―」,「IPS研究の最前線―Individual Placement and Support の効果に関する系統的レビューのミニレビュー―」,「日本におけるIPSの活用と実践―福祉事業所と精神科デイケアでの実践例―」,「日本におけるIPSの制度化の必要性と課題」について論じる.
精神医学奨励賞受賞講演 | 702-708頁
西岡 将基
双極性障害の遺伝因子の探索として354トリオからデノボ変異解析を行い,自然淘汰を受けやすい遺伝子の機能喪失デノボ変異が多いこと,シナプス・イオンチャネル関連遺伝子の機能障害デノボ変異が多いこと,モザイク型デノボ変異が発達障害原因遺伝子上に多いことなどを見出した.本稿では,双極性障害ゲノム研究を中心に,その背景と今後の展望を述べたい.
21世紀の「精神医学の基本問題」―精神医学古典シリーズ― | 709-719頁
人見 一彦
Bleuler, E. はスイス・チューリッヒ大学附属精神科病院ブルクヘルツリ第5代主任教授として,1908年さまざまな精神機能のスプリッティングがこの疾患の顕著な特徴であるとして,新たに「スキゾフレニア」という概念を提唱した.この背景にはFreud, S. の精神分析の大きな影響がある.基本症状としての連想の障害,情動性の障害,自閉,両価性は「Bleulerの4A」として知られる.

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