精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

症例報告 | 439-446頁
佐々木 宏太,榊原 英輔,越膳 航平,大路 友惇,切原 賢治,近藤 伸介,笠原 諭,高橋 渉,安藤 瑞生,笠井 清登
重度の精神疾患を持つ患者は,身体疾患による死亡率が高いことが知られ,その原因として,積極的な治療を手控えてしまうという医療者側の要因も考慮しなければならない.本症例は,抑うつ状態にある双極Ⅰ型障害の患者の癌治療において,mECTが有用な場合が存在することに加えて,そのプロセスに総合病院精神科の果たす役割が大きいことを示している.
症例報告 | 447-456頁
青井 駿,梅原 英裕,郷司 彩,森 達夫,東田 好広,高橋 幸利,大森 哲郎
小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害(PANDAS)が疑われた1例を報告する.感染を契機に出現し増悪したチック症状と強迫症状という経過からPANDASを疑い,免疫グロブリン大量療法(IVIG)とステロイドパルス療法を併せて行い,症状改善が得られた.PANDASの治療にはステロイドパルス療法を含む免疫療法が有用である可能性が示唆された.
特集 | 457-495頁
飯島 祥彦,小居 秀紀,橋本 亮太,夏苅 郁子,尾崎 紀夫
本特集では,「倫理指針改正による多施設研究と試料・情報利用研究へのインパクト」というテーマのもと,「人を対象とする生命科学および医学系研究に関する倫理指針のもとでの精神医学研究の課題とその対応」,「国立精神・神経医療研究センターにおける「生命科学・医学系指針」への対応―精神疾患レジストリの事例を中心に―」,「精神科領域における多施設共同研究の実際と研究倫理」,「「医学研究」について,当事者・家族が感じている不安と期待―『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針』施行に関して―」,「倫理指針改正に際し,研究倫理の基本と人材育成を再考する」について論じる.
ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論⑯ | 496-500頁
西村 勝治
ICD-10における症状性を含む器質性精神障害は、ICD-10後に刊行されたDSM-Ⅳにおける「器質性」の用語廃止等を受けて,ICD-11では3つの大疾患群に解体,分割された.すなわち「神経認知障害群」,「他に分類される障害又は疾患に関連する二次性精神又は行動の症候群」,「物質使用症群又は嗜癖行動症群」(医薬品による誘発症)である.

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