Advertisement第118回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第7号

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症例報告
双極I型障害の重度うつ状態,ステージIVの下咽頭癌,挿管困難が併存し,多科連携により修正型電気けいれん療法を実施し治療を進められた1例―患者の権利擁護と総合病院精神科の役割―
佐々木 宏太1)2), 榊原 英輔1), 越膳 航平3), 大路 友惇4), 切原 賢治1)5), 近藤 伸介1), 笠原 諭6)9), 高橋 渉7), 安藤 瑞生8), 笠井 清登1)
1)東京大学医学部附属病院精神神経科
2)多摩あおば病院精神神経科
3)虎ノ門病院精神科
4)NTT東日本関東病院精神神経科
5)東京大学バリアフリー支援室
6)東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター
7)東京大学医学部附属病院放射線科
8)岡山大学大学院学術研究院医歯薬学域耳鼻咽喉・頭頸部外科学
9)福島県立医科大学疼痛医学講座
精神神経学雑誌 124: 439-446, 2022
受理日:2022年4月6日

 30歳代発症の双極I型障害の70歳代男性.躁状態で医療保護入院となったがその後間もなく重症抑うつエピソードに転じた.入院中にステージIVの下咽頭進行癌が見つかり早急に治療開始が必要であったが,本人は思考制止により病気の理解ができず治療の同意も得られない状態であった.そこで家族の同意を得て5回の修正型電気けいれん療法(mECT)を施行し,抑うつ症状が改善した後に本人の同意を得て,下咽頭癌に対する放射線治療を施行した.患者には,下咽頭癌とは別に副咽頭間隙に多形腺腫があり,急変時の挿管が困難であったため,mECTの施行時は,耳鼻咽喉科と連携し,緊急の気管切開が可能となるように準備を行った.本症例は,抑うつ状態のため癌治療を進められないときに,mECTを用いて早期に抑うつ状態の改善を図ることが有用な場合が存在し,重度の精神疾患と身体疾患が併存する場合において,総合病院精神科の果たす役割が大きいことを示している.

索引用語:双極性障害, 多科連携, 電気けいれん療法, 放射線治療, 咽頭腫瘍>
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