精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

うつ病の治療戦略は,薬物療法か精神療法かという二元論での議論が優勢であった.そこで,一元的な議論の可能性の検討のため,両者の治療アウトカムについてのエビデンス,生物学的機序について概観した.次に併用療法における回復のメカニズムを,脱中心化,経験学習理論,プラセボ効果の観点から議論した.今後,より効果的な併用療法のあり方の検討が期待される.
資料 | 0177-0186頁
古郷 央一郎,武田 龍一郎,三好 良英,松尾 寿栄,雨田 立憲,河野 次郎,落合 秀信,石田 康
宮崎県において,身体治療と精神科診療を並行して行う「並列モデル」が可能な基幹救急医療施設の救急外来を受診した自殺関連行動症例の調査を行った.対象症例を若年群,中高年群,高齢群の3群に分け比較検討し,年齢群毎の特徴や自殺予防に関して考察を行った.各年齢群における自殺関連行動症例の特徴に応じて,必要な予防策は異なる可能性がある.
特集 | 0187-0212頁
高橋 努,盛本 翼,岡﨑 康輔,岸本 年史,松本 和紀,水野 雅文
本特集では,「精神病/統合失調症への早期介入―現在の到達点と臨床ガイダンス―」というテーマのもと,「早期精神病の診断と評価―症候とバイオマーカー―」,「初回エピソード精神病と精神病発症危険状態の薬物療法」,「早期精神病への心理社会的アプローチ―臨床ガイダンスの解説―」,「精神科領域における早期介入の伸展―日本における課題と展望―」について論じる.
第114回日本精神神経学会学術総会 教育講演 | 0213-0223頁
廣井 昇
高率で精神疾患と連鎖するコピー数バリエーションのひとつである22q11.2コピー数バリエーションでは,そこに含まれている個々の遺伝子が精神疾患の特定病態要素に寄与し,遺伝子背景や環境要因によって特定病態要素発現の有無強度が修飾されるということがマウスモデルでの研究から示唆されてきている.

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