Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第3号

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資料
宮崎大学医学部附属病院および宮崎県立宮崎病院における自殺関連行動症例の後方視的検討―「並列モデル」が可能な医療機関での調査―
古郷 央一郎1)2), 武田 龍一郎3), 三好 良英1), 松尾 寿栄1), 雨田 立憲4), 河野 次郎1)2), 落合 秀信5), 石田 康1)
1)宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野
2)宮崎県立宮崎病院精神医療センター
3)宮崎大学安全衛生保健センター
4)宮崎県立宮崎病院救命救急科
5)宮崎大学医学部病態解析医学講座救急・災害医学分野
精神神経学雑誌 121: 177-186, 2019
受理日:2018年10月19日

 宮崎県において,宮崎大学医学部附属病院と宮崎県立宮崎病院は身体治療と精神科診療を並行して行う「並列モデル」が可能な基幹救急医療施設である.上記2施設において,2012(平成24)年4月1日から2017(平成29)年3月31日までの5年間に自殺関連行動により救急外来受診となり,精神科診療を要した589例の内訳を後方視的に検討した.対象症例を年齢群別に若年群(~34歳),中高年群(35~64歳),高齢群(65歳~)の3群に分け比較検討した.若年群は203例,中高年群は304例,高齢群は82例であった.若年群では,女性,自殺企図歴あり,投身を手段選択,F43(重度ストレス反応および適応障害)やF6(成人のパーソナリティおよび行動の障害)の診断,睡眠薬定期処方なし,身体治療後に受診病院の精神科外来受診となる転帰の症例が有意に多かった.若年者への慎重な向精神薬処方を心がけていることや,身体治療後も受診病院の精神科が継続してかかわるよう努めていることがうかがえた.中高年群では,自殺企図歴あり,精神科通院中,過量内服を手段選択,睡眠薬多剤処方あり,かかりつけの精神科外来受診や入院となる転帰の症例が有意に多く,自殺関連行動リスクに関して慎重さを欠いた評価を受けている可能性が示唆された.高齢群では,男性,身体的重症例,初回の自殺企図,精神科受診歴なし,服毒を手段選択,F3(気分障害),受診病院の精神科入院や適時受診となる転帰の症例が有意に多く,症状の言語化や援助希求が少ない高齢者に対する慎重な自殺関連行動リスク評価や一次予防を中心とした自殺予防の重要性が示唆された.各年齢群における自殺関連行動症例の特徴に応じて,必要な予防策は異なる可能性がある.今後も本研究を進め,地域における効果的な自殺予防システムの構築に寄与したい.

索引用語:自殺企図, 自殺関連行動, 自殺予防, 年齢群, 救命救急センター>
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