精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 463-471頁
鵜飼 克行,小阪 憲司
石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)は,初老期に発症する認知症性神経変性疾患の1つである.日本以外の国での報告が極めて少ないのは,この疾患に関する認識が不十分であるため,見逃されている場合が多いのであろうと推測される.日本におけるDNTCの報告例を総括し,その臨床病理学的特徴と問題点を明らかとし,さらに新たな臨床診断基準を提唱する.
資料 | 472-484頁
髙橋 隼,鬼頭 伸輔,中村 元昭,篠崎 和弘
日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会を企画組織とし,専門医制度研修施設を対象に,うつ病に対するrTMS治療の意識アンケート調査を実施した.精神科専門医はrTMS治療の臨床応用におおむね賛同していることが示されたが,一方で,臨床応用に際する問題点や治療ガイドライン,トレーニングセミナーの重要性を認識していることも明らかになった.
特集 | 485-515頁
岩本 邦弘,三野 進,中林 哲夫,田邉 昇
本特集では,「精神障害と自動車運転―運転事故新法および添付文書の現状を踏まえた今後の方向性―」というテーマのもと,「精神障害と自動車運転―わかっていることとは何か?―」,「精神疾患患者の自動車運転と服薬にかかわる注意義務」,「向精神薬の自動車運転に対する影響の評価方法と結果の読み解き方について」,「自動車運転と精神神経疾患・薬剤について―司法の視点から―」について論じる.
教育講演 | 516-523頁
橋本 衛,池田 学
脳損傷により,認知機能や行動面の障害を呈する高次脳機能障害は,対人関係や学校,職場での人間関係に影響を及ぼすため,身体障害以上に重大な障害である.精神症状や行動障害の治療を始めとして,高次脳機能障害に対して精神科がかかわるべき状況は多岐にわたる.そこで本稿では,精神科医が高次脳機能障害患者の診療を行う際の基本について紹介する.

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