1960年代に英国で身体障害者が,社会生活の制限を取り除く責任は社会にあると主張した.インペアメントが医学的に明確でない精神障害では,社会の主要な価値感を満たさない場合にディスアビリティが析出するとの広義の社会モデルが生まれ,パーソナルリカバリーや,社会モデルを制度化した障害者雇用が近年成果をあげている.ユニークな人たちも暮らせるinclusiveな社会が今後の課題である.
資料 | 510-520頁
宇佐美 貴士,村上 真紀,松本 俊彦
国立精神・神経医療研究センター病院薬物依存症センターを受診した,主たる薬物がbenzodiazepine受容体作動薬である患者67名を後方視的に調査し,常用量依存,依存症,有害使用の3つの臨床類型に分類し,性別や年齢,就労状況,使用期間や使用量,併存症などについて比較検討しそれぞれ特徴を明らかにした.また,入院し減量を行った患者についてその減量法をまとめた.
特集 | 521-554頁
山下 達久,原井 宏明,松本 俊彦,崔 炯仁,永田 利彦
本特集では,「今,再び支持的精神療法を―不安症,物質使用症,摂食障害,心的外傷を治療する―」というテーマのもと,「包括的な介入法としての支持的精神療法―特化された精神療法の技法や治療的工夫の組み入れ―」,「不安に対する支持的精神療法・動機づけ面接とは?―ランダム化比較試験におけるプラセボ反応から―」,「物質使用症臨床における支持的精神療法―心的外傷後ストレス症併存使用例に対するharm reduction psychotherapyの実践―」,「不知の姿勢,共同探索による支持という精神療法―認識的信頼とメンタライジングを促進するアプローチ―」,「摂食障害への支持的精神療法」について論じる.