精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

原著 | 183-193頁
五十嵐 百花,山口 創生,佐藤 さやか,塩澤 拓亮,松長 麻美,小塩 靖崇,藤井 千代
精神障害をもち,IPS型就労支援受ける人において,利用者個人の属性が就労の獲得や就労期間と関連するかを調査した.16機関において,202名が参加した.全般的機能(GAF)が高い人,男性において就労アウトカムがより良いことが示された.その他の属性(年齢,最終学歴,居住形態,社会保障制度利用,就労経験・入院の有無)については有意な関連はみられなかった.
特集 | 194-225頁
野口 正行,櫻木 章司,三家 英明,加藤 博史
本特集では,「これからの「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」―いわゆる「にも包括」を考える―」というテーマのもと,「自治体の精神保健からみた精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」,「これからの「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」―民間精神科病院の立場から―」,「多機能型精神科診療所での実践から」,「多機能型精神科診療所での実践から」,「すべての人が生きやすいインクルーシブな地域のビジョンと実現方向性に関する試論」について論じる.
21世紀の「精神医学の基本問題」―精神医学古典シリーズ― | 226-237頁
加藤 敏
Griesinger,は,脊髄反射」を基礎に人間の脳の活動を「精神的反射」と捉え,「脳は絶えず刷新される巨大な反射器官である」と明言する.また,成長において表象の集合体から自我が形成されるという力動的表象連合論の観点から心的外傷後ストレス症や遷延性悲嘆症を先取りする考察をしている.彼の神経生理学には無意識の科学を包摂する視点が見て取れる.

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