精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

原著 | 003-015頁
樋口 早子,酒匂 赤人,近藤 忠之,草西 俊,榎本 哲郎,早川 達郎,栁内 秀勝,吉村 健佑
日本におけるCLZの使用頻度は諸外国と比較し低い.しかし本研究では,2018年度CLZ100㎎入院処方錠数は3年間で2倍、管理料の算定回数は4年間で3倍以上に増加しており,普及は進んでいる.一方で処方錠数を都道府県別にみると最大約18倍の格差があるなど,いまだに地域差が著明である.経時的に縮小傾向ではあり,今後さらなる均てん化が期待される.
資料 | 016-027頁
木下 翔太郎,成瀨 浩史,吉村 健佑,岸本 泰士郎,榎戸 芙佐子,押淵 英弘,兼子 幸一,瀬戸 秀文,辻本 哲士,長尾 喜一郎,三野 進,村田 昌彦,米田 博,稲垣 中
日本精神神経学会オンライン精神科医療検討作業班では,オンライン診療の現状把握と課題分析を目的として,臨床現場でオンライン診療の実践に取り組む医療機関にヒアリング調査を行った.オンライン診療は患者のニーズに合わせた普及がなされるべきであり,普及の障害となっている規制で合理性に欠けるものについては,見直しがされていくことが望ましいといえる.
特集 | 028-054頁
細金 奈奈,小平 雅基,齊藤 万比古,八木 淳子,桝屋 二郎,福地 成,吉岡 靖史,松浦 直己,立花 良之,小泉 典章
本特集では,「育てと育ちの精神医学―困難な育児・逆境における育ちの支えII―」というテーマのもと,「児童精神科臨床における養育支援―総合母子保健センター愛育クリニックでの取り組み―」,「東日本大震災後に誕生した子どもとその家庭への縦断的支援研究―ベースライン調査,第1回・第2回追跡調査の結果から―」,「医療・保健・福祉が連携した周産期のメンタルヘルスケア―地域の実態調査・介入研究・均てん化を通してみえてきた課題と今後の展望―」について論じる.
第116回日本精神神経学会学術総会 精神医学奨励賞受賞講演 | 055-061頁
曾根 大地
近年の機械学習の進歩により,脳画像から個人の脳年齢を推定することが可能になった.著者らは,さまざまなてんかん患者の脳年齢を推定し,その有用性を検証した.脳MRIに基づく年齢予測システムは,通常診療で応用可能な個人レベルの新たな画像バイオマーカーとして確立される可能性がある。本稿では,てんかんにおける他の画像バイオマーカー探索も議論する.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論⑩ | 062-066頁
太田 敏男
パラフィリア症群は、性関連のカテゴリーのうち精神疾患と認められるカテゴリーを含むグループ名として設けたものであり,各カテゴリーは共通の特徴と特徴的行為とで規定された.その他の性関連カテゴリーは新設グループ「性の健康に関連する状態」に移された.作為症群は身体的症状の訴えの動機が意図的でも金銭等の外的利益を得ることでもないことが特徴とされた.

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