精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

資料 | 169-178頁
稲熊 徳也,井藤 佳恵
精神障害者も適切な身体合併症医療を受ける権利をもつ.本稿では,松沢病院における身体合併症病棟の取り組みと課題について資料を提供する.2019 年度,病床数は131 床,新入院患者は1,099 名であった.高齢化を背景に,認知症および統合失調症患者の繰り返す誤嚥性肺炎や骨折,消化器癌による入院が多かった.看護配置基準の低さなど医療経済面の課題は解決する必要がある.
特集 | 179-213頁
斎藤 環,熊倉 陽介,夏苅 郁子,松谷 光太郎,ボー ティトゥイチャン,福井 里江,伊藤 順一郎,相川 章子,山口 創生,藤田 英親,種田 綾乃,板垣 貴志
本特集では,「「共同意思決定」を生む対話についての検討―患者の権利,意思とはなにか―」というテーマのもと,「「意思決定支援」から「欲望形成支援」へ」,「人権としてのハウジングファースト―共同意思決定の基盤としての権利擁護―」,「当事者・家族からみた「共同意思決定」―相互理解のための知恵と工夫―」,「日本の精神科医療におけるピアサポートの意義―共同意思決定に立ち会う役割―」,「精神科診察のなかで患者の権利,意思を尊重するとはどういうことか―コンピュータシステム“SHARE”開発研究からみえてきたこと―」について論じる.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論① | 214-220頁
森野 百合子,海老島 健
ICD-11は,児童思春期に診断される雑多な診断がひとまとめに併記されていたICD-10と異なり,神経発達の問題と考えられる疾患をまとめて神経発達症としており,診断基準設定の背景が理解しやすく,診断名も変更された.またDSM-5の分類の考え方に準拠しており使いやすいものとなった.この改訂の背景には各疾患の捉え方の変化があると考えられる.

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