精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 295-302頁
太田 深秀,野田 隆政,佐藤 典子,服部 功太郎,堀 弘明,篠山 大明,寺石 俊也,長島 杏奈,大部 聡子,樋口 輝彦,功刀 浩
今回われわれは拡散強調画像を用いてメランコリー型の特徴を伴う大うつ病性障害(mMDD)と非定型の特徴を伴う大うつ病性障害(aMDD)における局所脳形態変化の差を拡散強調画像を用いて検討した.その結果,mMDDおよびaMDD患者はそれぞれ健常者と比較して脳梁,下前頭後頭束,左上縦束部分に障害が認められた.しかしmMDDとaMDDの間には有意な差は認められなかった.
入院患者レジストリを用い,急性期入院症例における服薬規則群と不規則群の臨床的特徴や治療アウトカムの差異を解析した.不規則群には措置入院が有意に多く,より重症で,長期の入院を要した.一方規則群は軽症傾向だが,維持期にあり,罹病期間,通算入院期間などが不規則群を上回った.治療にあたり服薬状況ごとの臨床特徴に見合った方針立案が重要と考えられた.
特集 | 313-346頁
川人 光男,酒井 雄希,高木 優,田中 沙織,岡本 泰昌,市川 奈穂,岡田 剛,高村 真広,吉野 敦雄,柴崎 千代,山脇 成人,八幡 憲明
本特集では,「ブレインマシンインタフェース技術による精神科的診断と治療の創造」というテーマのもと,「人工知能とビッグデータ―計算論的神経科学と精神医学―」,「強迫性障害の生物学的基盤とニューロフィードバック法による治療可能性」,「うつ病の神経回路病態に基づく診断・治療法の開発」,「安静時機能的結合を通じた自閉スペクトラム症の神経基盤理解と臨床応用の可能性」について論じる.
精神医学奨励賞受賞講演 | 347-354頁
山室 和彦
統合失調症と覚醒剤精神病は鑑別に苦慮することが少なくないが,過去に両疾患の鑑別を目的とした研究は存在しない.そこで,今回我々は近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)を用いて前頭葉機能を評価した.覚醒剤精神病は統合失調症と比較して,左背外側前頭前野付近での酸素化ヘモグロビンが低値であることから,NIRSが鑑別に有用である可能性が示唆された.
Current Topics | 355-358頁
林 道彦
2015年9月公認心理師法が成立した.2017年5月頃に新しい公認心理師カリキュラムが公開される.経過措置期間の国家試験が実施される前には現任者講習会が予定されていて,2018年夏以降に第1回の国家試験が実施され,最初の公認心理師が誕生する.本稿では公認心理師への期待と今後の課題について展望を述べた.

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