精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神疾患の診断・治療マニュアル第5版(DSM-5)を用いて,食行動障害および摂食障害群(FED)の診断を行う時の注意点について,DSM-5で新たに加わった回避・制限性食物摂取症と過食性障害に焦点をあてて検討した.その結果,DSM-5はFED群の診断に有用であるが,その使用にあたっては,いくつかの注意する事項があり,それらの点について記述した.
一般市民と臨床家が実行可能なうつ病に克つ食生活を紹介する.代表的なものは,地中海式食事,果物・野菜・豆類・全粒穀類・ナッツ・種子の摂取,魚食,加工食品・ファストフードの減量,健康食品への置き換えである.栄養精神医学は幅広い集団に適用可能であり,メカニズムの解明も含めて今後のエビデンスの蓄積と治療・予防への実装が期待される領域である.
特集 | 895-924頁
北西 憲二,長山 恵一,熊野 宏昭,山中 康裕
本特集では,「東洋的叡智と心理療法―思想,方途と目的地―」というテーマのもと,「東洋的自然論と森田療法」,「内観療法の思想的背景―西洋文化との比較およびヴェーバー理論の研究を通して―」,「禅とマインドフルネス―そのかたちとこころ―」,「ユング心理学はどう日本で進化したか」,について論じる.
心の情報処理過程に焦点をあてて気分や行動をコントロールする力を伸ばす認知行動療法は日常的なストレス対処法をまとめたもので,精神疾患の治療に限らず広く用いられるようになっている.しかし,それだけに誤解も多く,十分な訓練を受けないまま安易に用いられることも多い.本稿では認知行動療法の誤解されやすいポイントを示し,具体的なアプローチを紹介した.
教育講演 | 931-937頁
中村 敬
うつ病の森田療法について概説し,行動活性化療法(BA)およびマインドフルネス認知療法(MBCT)との異同を論じた.森田療法ではBA と比べて休息の必要性を重視し,回復の時期を考慮しながら行動を促すタイミングをはかる.また森田療法は,MBCT のように特別の瞑想トレーニングを行うのではなく,あたり前の生活の実践を通して自然に注意が転換されるよう導いていく.
Current Topics | 938-942頁
石井 知行
男女共同参画社会基本法の基本理念として,男女の人権の尊重,政策等の立案及び決定への共同参画などがあげられている.このため精神科関連60学会・団体は男女共同参画の重要性についての宣言をとりまとめ,骨子として以下を表明した.
(1)啓発活動を推進する
(2)女性を軸とした精神医学,精神医療の発展と女性医学研究者及び女性臨床医に対する支援を推し進める.

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