精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

症例報告 | 327-332頁
井上 宏治,他
Chewing and spitting(CHSP)とは,食べ物を口に入れて咀嚼後,嚥下せず吹き出すという行動で,摂食障害の重症度と関連があると報告されている.今回CHSPにより極端に体重が減少し入院となり,SSRIs投与により症状軽快し,退院に至った神経性無食欲症の1例を経験した.臨床経過を示すとともに文献的考察を交え報告する.
本特集では,「神経性無食欲症治療の地域連携─各診療科の限界と精神科医の課題─」というテーマのもと,「小児科における神経性無食欲症の包括的診療体制」,「単科精神科病院における摂食障害の治療に対する問題点と限界」,「有床総合病院精神科における神経性無食欲症治療─地域での現状と治療体制の構築─」について論じる.
教育講演 | 353-361頁
福田 正人
精神科医の役割を改めて振り返ると,それがさまざまな「特権」に恵まれていることに気づく.その特権を自覚し,医学と医療のために役立てることに意識的であることは,精神科医としての使命である.「人間にとって一番重要な医療」に携わっているという誇りを当事者や家族や多くの仲間と共有できることが,精神科医であることの特権と言える.
精神医学奨励賞受賞講演 | 362-368頁
木下 誠
統合失調症患者の末梢血で広範囲にDNAメチル化修飾の変化を認めること,血漿ホモシステイン濃度が特定の遺伝子のDNAメチル化修飾に影響を与えること,メンデル無作為化解析により血中ホモシステイン濃度の上昇が統合失調症発症リスクの原因であること,MTHFR遺伝子C677T多型が日本人の統合失調症発症リスクであることを明らかにした.

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