精神神経学雑誌

116巻4号 掲載論文ハイライト

近年、精神科でもチーム医療を求める声はますます強まっている。本研究では、医師がチーム医療をどのように進めていけばよいかを探索するために、チーム医療を推進する人材を養成する研修を受講した看護師を対象にフォーカス・グループを行った。結果として、多職種での相互学習を意図した研修構造や連携を促進するようなシステム上の変化の必要性が示唆された。
平成25年6月13日に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律(改正精神保健福祉法)が成立した。本特集では、医療保護入院制度の今後、新しい非自発的入院制度における入院患者の権利擁護、新たな医療保護入院制度における権利擁護と早期退院、保護者制度廃止後の非自発的入院制度の展望などについて論じる。
第109回日本精神神経学会学術総会:教育講演 | 316-322頁
鹿島晴雄
こころと脳は“重ね描き”(大森)の関係であり、治療においてのみ両者の連繋は意味を持つ。両者の連繋には、こころの現象を脳につなげうる言葉で、脳の機能障害をこころにつなげうる言葉で表現することが肝要であり、そのような言葉を共有することがこれからの課題である。またこころと脳の“重ね描き”ができない事態についても触れた。
見逃されがちだが、QOLを考える上では看過できない副作用を取り上げた。リチウムは甲状腺機能低下症、尿量増加、Ca 値の上昇を来たす。バルプロ酸は男性ホルモンを上昇させ、多嚢胞胞性卵巣症候群をもたらしうる。また催奇形性として、児におけるIQ の低下や自閉症スペクトラム障害を増すことが報告されている。セロトニン高親和性の抗うつ薬は消化管出血をもたらし、性機能障害も起こしうる。アクチベーション症候群にも注意を要する。抗精神病薬については不快な主観的副作用を話題にした。

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