Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第4号

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教育講演
第109回日本精神神経学会学術総会
改めて注目すべき向精神薬の副作用Update―気分安定薬,抗うつ薬,抗精神病薬に焦点をあてて―
渡邊 衡一郎, 菊地 俊暁
杏林大学医学部精神神経科学教室
精神神経学雑誌 116: 323-331, 2014

 本稿では頁数の制限もあり,よく知られている向精神薬の副作用はあえて割愛し,見逃されがちだが患者のQOLを考える上では看過できない副作用を取り上げた.気分安定薬においては,リチウムは周知となっている甲状腺機能低下症に加えて尿量増加,副甲状腺機能亢進,さらにはCa値の上昇を来たす.バルプロ酸は男性ホルモンを上昇させ,多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)をもたらしうる.催奇形性も問題となるが,特にバルプロ酸は神経系に影響を及ぼし,高用量の場合,児におけるIQの低下や自閉症スペクトラム障害を増すことが報告されている.抗うつ薬においては,セロトニンに高親和性のものは消化管出血をもたらし,他に性機能障害も一部の薬剤間において多く認める.また改めてアクチベーション症候群についても注意を喚起した.抗精神病薬については患者のアドヒアランスに影響しうる不快な主観的副作用について取り上げた.このように患者のQOLに深刻に影響しうる副作用について,改めて我々は関心を寄せ,問題が生じた際には変薬か適切な対処行動を指導すべきと考える.

索引用語:副作用, 催奇形性, 消化管出血, 多嚢胞性卵巣症候群, 性機能障害>
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