精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

統合失調症の初発症状や受診経路を調査した結果,患者とその家族55組で症状把握の差異が明らかになった.精神症状が出現した患者の7割程度で陽性症状を認めたが,家族は2割強にとどまっていた.身体症状を有する場合に最初の医療機関として有意に身体科を選択していた.精神疾患の啓発,身体科医の精神疾患の理解と精神科との連携の必要性が確認された.
特集 | 982-1018頁
鈴木 利人,他
本特集は,第110回学術総会のテーマ「地域連携から始まる国際化」を踏まえ「周産期メンタルヘルスの国際標準化に向けて」と題して企画した.英国の先進的な周産期メンタルヘルス・ガイドラインを紹介し,国内外のケア体制を比較する.治療的アプローチに関して,心理療法と薬物療法の両者の重要性や留意すべき問題について論じる.さらに産褥期の授乳と薬物療法の問題について,国際的動向を交え紹介する.
教育講演 | 1019-1027頁
石川 博康
特定妊婦は,児童福祉法において定義された法律用語である.行政通知により補足された結果,特定妊婦を判断する主要項目の1つに精神疾患が挙げられ,その地域連携に関連して精神科医の参画が期待されている.本稿は,特定妊婦に関する法や通知をレビューし,実務上の注意点をまとめたものである.特定妊婦と関連付けて,胎児虐待や親権能力などの概念を紹介した.

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