Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第12号

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資料
統合失調症における受診経路および初発症状に関する調査
安部 秀三1)2), 高沢 彰1)3), 小徳 勇人1)4), 高濱 浩輔1)5), 齋藤 悟1)6), 茂木 尚子1)7), 松岡 大介1)8), 片見 眞由美1)9), 土井 永史1)10), 朝田 隆1)11)
1)NPO法人Iネット
2)医療法人有朋会栗田病院
3)医療法人碧水会汐ヶ崎病院
4)医療法人ナザレ園ルリア記念クリニック
5)公益財団法人鹿島病院
6)社会福祉法人光風会
7)社会福祉法人町にくらす会
8)みやざきホスピタル
9)茨城県日立保健所
10)茨城県立こころの医療センター
11)筑波大学大学院人間総合科学研究科・精神医学
精神神経学雑誌 116: 969-981, 2014
受理日:2014年7月9日

 統合失調症の長期予後改善のためには早期介入が重要である.今回我々は早期介入のための課題抽出を目的として後方視的に受診経路および受診に至る経緯,初期症状などの患者調査を行った.統合失調症と診断され治療中の本人125名,家族74名を対象とし,受診経路,変調時の年齢,未治療期間,初発症状,必要とした情報などを後方視的におのおの調査員が調査シートをもとに面接調査した.さらに受診経路は精神科医院,精神科病院,総合病院精神科,一般科に分類し,その傾向を検討するとともに,初期症状については本人,家族で異同を検討した.最初の相談機関は医療機関が多く全体の約8割であった.変調から精神科初診までの期間は24.7±3.3ヵ月,中央値6.0ヵ月であり,特に最初に一般科を受診する群では長期化していた.初期の症状では本人は自覚症状として精神症状を7割に,同様に家族も7割以上精神症状を把握していた.一方陽性症状について本人は4割が気づいていたが,家族は2割しかとらえていなかった.また身体症状は本人の3割が自覚しており,この場合最初の医療機関として有意に身体科を選択することがわかった.受診の遅れに関しては,変調時年齢が低いと初診までに時間を要す傾向が認められた.以上の結果から,発病時期にあたる学校での疾患教育,メンタルヘルスの対応の整備,かかりつけ医の精神疾患の理解と精神科医療機関との連携,一般住民への精神疾患の啓発の必要性が確認された.

索引用語:統合失調症, 受診経路, 初発症状, 早期介入>
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