精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

本研究では物質使用障害患者の初診3年後予後調査から,主な乱用物質による3群で断酒断薬継続の予後及び影響因の比較検討を行った.生存分析による断酒断薬継続月数の中央値はアルコール群6ヶ月,違法薬物群32ヶ月,処方薬市販薬群12ヶ月であった.3年後の生活状況や断酒断薬継続への影響因の特徴も各群で異なり,治療目標設定の一助になることが期待される.
今回我々は,自閉スペクトラム症を合併し,人格交代を伴う自傷行為や拒食など,多彩な症状を呈した解離性障害例を経験した.独特な死生観を前に診療には難渋したが,試行錯誤を重ね症状を改善し得た.自閉スペクトラム症では時に奇異な解釈により心理療法の介入が困難な事例が存在する.その際にも多職種を通じた根気強い介入を行ったことで,解決の糸口をつかむことができた.
本特集では,「精神医学と漢方医学のクロストーク―古典から繙く知恵,現代における漢方の役割,未来に向けた課題と展望―」というテーマのもと,「現代精神医学の視点から見直す中神琴渓の漢方診療」,「精神科臨床における漢方医学的アプローチの有用性」,「精神科漢方 EBM Up Date ―抑肝散のエビデンスの方法論を中心に―」,「精神医学における漢方医学―その展望と課題―」について論じる.

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