精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

演奏家17名を対象に質問紙調査を行い,musician’s dystonia 発症前後のストレスを検討した.発症以前,14名が「強いストレスを伴う出来事」を体験していた.発症後,musician’s dystonia は自己否定的・自責的な認知的評価と演奏中の高不安を長期間維持する広い意味でのトラウマティックなストレスとなりうることが示唆された.
特集 | 168-191頁
服多 美佐子,山下 十喜,東久保 ちあき,高橋 晶,佐々木 宏之,古川 宗,阿部 喜子,藤井 進,布田 美貴子,藤田 基生,丸谷 浩明,亀井 尚,江川 新一
本特集では,「自然災害への備えと対応―BCPと受援・支援―」というテーマのもと,「平成30年7月豪雨災害における広島県保健師チーム統括班の活動から―多職種連携と受援について―」,「局所・広域の自然災害に対する精神医療保健福祉支援体制の現状と展望」,「東日本大震災を経験した東北大学病院の事業継続計画(BCP)策定ステップと事業継続管理(BCM)」について論じる.
ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論⑫ | 192-197頁
本多 真
ICD-10における睡眠・覚醒障害の分類は,睡眠・覚醒障害を器質性と非器質性に区別する医学的根拠も臨床的妥当性もないのに,神経疾患と精神疾患に分けてコードするという,構造的欠陥をもっていた.また睡眠・覚醒障害の病態理解はここ20年で飛躍的進歩を遂げている.疾患概念の明確化を反映して睡眠障害国際分類(ICSD)は2回の改訂が行われており,ICD-10は睡眠医療の現場では役立たないものになっている.ICD-11では睡眠・覚醒障害が神経疾患・精神疾患から独立した章となる.今後,睡眠・覚醒障害における基本統計として臨床研究に活用されることが期待される.

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