精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 461-467頁
松岡 照之,大矢 希,成本 迅
軽度認知障害(MCI)患者において松果体体積がアルツハイマー型認知症(AD)への移行に関係しているのかを調べたところ,松果体体積減少はMCIからADへの移行の予測因子であり,ADにおける松果体体積減少はMCIの時点ですでに始まっていた.松果体体積減少は臨床場面において,MCIからADへの移行の予測因子として有用であるかもしれない.
資料 | 468-474頁
犬山 麻亜弥,今津 伸一,金沢 徹文
2019年6月にうつ病への反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が保険収載された.これを受けて大阪医科薬科大学病院もNeuroStarによる適正使用指針に則った運用を続けており,現在も同治療による依頼が多く届いている.本稿では導入までの工夫や過程,奏効した経験症例や治療データを紹介し,同治療の導入を検討している他施設の参考となることをめざした.
特集 | 475-505頁
湯本 洋介,樋口 進,澤山 透,宮田 久嗣,齋藤 利和,山下 悠毅
本特集では,「仮想症例から学ぶアルコール依存症の新ガイドラインと治療ゴール―断酒と減酒の実践的治療を考える―」というテーマのもと,「アルコール依存症の新ガイドラインと治療ゴール」,「断酒が必要だが,動機づけが不十分なアルコール依存症者にどのように対応するか」,「仮想症例から断酒と減酒の使い分けを考える」,「うつ病を合併するアルコール依存症の治療と治療ゴール―仮想症例による検討―」,「アルコール依存症治療における覚書」について論じる.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論④ | 506-514頁
本村 啓介,川嵜 弘詔,神庭 重信
本稿では,ICD-11の気分症群<気分障害>に含まれている疾患について,ICD-10およびDSM-5と比較しつつ,診断の必須要件と付加的特徴を概説する.ICD-11の気分症群の分類はDSM-5にハーモナイズして整理されており,DSM-5を使い慣れている者には,使いやすい感がある.しかし,細部において重要な変更も数多くあり,ICD-10やDSM-5との違いも理解しておく必要がある.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論⑤ | 515-520頁
山田 和男
身体的苦痛症または身体的体験症群は,患者の身体面における障害を経験することによって特徴づけられる疾患群であり,身体的苦痛症や身体完全性違和などが含まれる.身体的苦痛症は,患者が苦痛を感じ,過度の注意が向けられる身体症状を伴う.身体完全性違和は,身体障害をもちたいという欲求,または身体障害のない現状への強い不適切感を特徴とした疾患である.

このウィンドウを閉じる

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology