精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 003-010頁
山末 英典,Walid Yassin,児島 正樹
自閉スペクトラム症(ASD)のリスクを高める要因の一つである出生時の両親の高齢化とASDの脳形態所見の関係を検討した.本総説では,ASDの脳形態特徴に,両親,特に父親の高齢化も関与することを示したvoxel- / surface-based morphometry, 拡散テンソル画像を用いた2編の原著論文について簡単に紹介した.
EMDRは,WHOのPTSDの治療ガイドラインで推奨されている心理療法で、それを説明する適応的情報処理モデルでは,トラウマ記憶が肯定的な記憶要素と結びつくことで治癒へと至ると考えている。注意を過去の記憶と現在の眼前の刺激に向ける二重注意が重要である。眼球運動のメカニズムとしては,認知心理学,学習理論,脳生理学などからの仮説がある.
特集 | 020-037頁
五十嵐 禎人,田口 寿子,村松 太郎
本特集では,「刑事責任能力鑑定の方法―裁判員裁判における私の実践―」というテーマのもと,「裁判員裁判を契機とした刑事責任能力鑑定の変化」,「精神鑑定に対する裁判員制度の影響を検証する」,「裁判員裁判の功罪」について論じる.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:序文 | 038-041頁
神庭 重信
今回から始まる解説シリーズでは,ICD‒11の第6章「精神,行動,神経発達の疾患」(Mental, Behavioural or Neurodevelopmental Disorders:MBND)の疾患分類とコードの説明,ICD‒10 からの変更点やDSM‒5との相違点,そして日本語病名などについて紹介する.本シリーズは,MBNDの概要を紹介し,ICD‒11の導入に備えていただくことを目的としている.
ICD‒11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:総論① | 042-048頁
松本 ちひろ
ICD‒11が2018年6月に導入準備のためのバージョンというかたちで公開され,改訂作業における大きな節目を迎えた.本稿では精神科領域を含むICD‒11全体の構成とその背景,新たなコーディングの方法,ICD‒10からの変更点およびDSM‒5との相違点を紹介する.臨床的有用性の向上を掲げた今回の改訂では,形式面でも内容面でも,画期的な変更が積極的に取り入れられている.

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