精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

軽度アルツハイマー型認知症や軽度認知障害の人に支持的精神療法や森田療法を試行した.支持的精神療法では、自導感情や自己効力感を高めることで現実検討能力や感情調節能力を高め,自分がおかれた状況を的確に把握できるようになることで適応能力を高めることを目指した.森田療法では不安や恐れによって変化してしまったライフスタイルを見直すことを目指した.
精神疾患の遺伝を語ることは,患者本人・家族だけではなく臨床医にとってもハードルが高い.石塚論文(121巻第8号掲載)は「精神疾患の遺伝負因は負の要因なのか」と正面から問題提起をしている.それに対して筆者は当事者・家族の立場から共感した点・補足すべき点をまとめた.当事者・家族と医療者が遺伝について忌憚なく話し合える場を期待したい.
特集 | 0514-0542頁
阿保 順子,北西 憲二,新村 秀人,稲村 圭亮
本特集では,「高齢者に求められる精神療法とはどのようなものか」というテーマのもと,「高齢者のこころのあり様」,「高齢者の精神療法―その課題と方法―」,「高齢者に対する精神療法的アプローチ―生老病死に逆らわない生き方を支える―」,「認知症患者に対する「主体性」を尊重した精神療法―森田療法的アプローチを施行した1例から―」について論じる.

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