精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 819-826頁
吉田 弘和,小林 奈津子,本多 奈美,松岡 洋夫,山口 拓洋,本間 博彰,富田 博秋
東日本大震災の被災地の子ども(3,337名)の,震災後31ヵ月時点での心的外傷後成長(PTG)と,法事参加・メディア視聴への態度との関連を調査した.PTGと,法事参加やメディア視聴への態度には有意な関係が認められ,PTGプロセスの意図的反芻に相当する,事柄への前向きな態度は,自然災害後の子どものPTGを促進すると考えられる.
特集 | 827-869頁
豊嶋 良一,古茶 大樹,広沢 正孝,太田 敏男,須賀 英道
本特集では,「精神科臨床が根差す揺るぎない大地,「臨床精神病理学」のススメ」というテーマのもと,「『了解可能/不能感』と『生物学的正常/異常』の対応関係についての試論」,「伝統的精神医学とDSM―共通点,違い,診断,長所と短所―」,「『診たて(成因論的仮説)』には,どんな臨床精神病理学が必要か?」,「現場における個別的な精神科診断学と治療学について」,「『DSM』世代の精神科医には,どんな『伝統的精神医学の知恵』が求められるのか」について論じる.
第113回日本精神神経学会学術総会 教育講演 | 870-876頁
橋本 明
精神医療の現在と未来の基礎を固めるために,歴史を学び,歴史的な視点を活用したい.近代日本の精神病関連法制は,連続と断絶の歴史でもあった.また,わが国の精神病学の近代化には,西欧の精神医学の受容だけには帰着できない独自の展開がみられた.他方,西欧医学的な文脈から離れたとき,伝統的治療には今日的な地域支援プログラムに通じる要素がある.

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