精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

光トポグラフィー検査は,「抑うつ状態の鑑別診断補助」として2014年より保険適用となった.前頭部の脳賦活反応性にもとづいて,うつ病と臨床診断されている場合の真の診断が,双極性障害や統合失調症である可能性を示唆するものである.「鑑別診断補助」という臨床検査の位置づけを十分に理解し,当事者中心の精神科医療の推進に役立つような適正な普及が求められる.
薬物治療抵抗性うつ病へのrTMS治療は安全性が高く,薬物療法と同等の治療効果を持ち,欧米では治療機器として認可されている.わが国でも薬事承認が期待されており,並行して適切に運用される環境作りが必要である.本特集では薬事承認への取り組み,エビデンスの産生,専門性の担保,脳刺激の倫理的課題に加えて,rTMS治療を本会会員に広く理解してもらう必要があることなどを論じた.
ゼプリオン導入後6ヵ月間の11,000例中32例の死亡例が市販直後調査で報告され,その半数が突然死関連であった.本剤の全死亡リスクは他の大規模調査に比べて高くはないが,突然死リスクは高い可能性があった.本邦でも統合失調症患者のmortality gapや突然死などの実態を把握し,その高い死亡リスク減少のために努力をしなければならない.

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