精神神経学雑誌

116巻6号 掲載論文ハイライト

資料 | 429-457頁
日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会
日本精神神経学会精神科用語検討委員会は、精神科関連15学会・委員会の代表者とで、日本精神神経学会精神科病名検討連絡会を組織し、総計17回にわたり連絡会議を開催し、DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版)を作成した。この過程で、本学会の代議員にアンケートを行い、また一般会員から意見を募集し、それらの結果を検討し議論を重ねた。
平成22年11月に医療観察法施行5年後の国会報告が行われたが、残念ながらこのときの国会報告は、施行後5年間の同法の運用の実態を把握するためにはきわめて不十分なものであった。これに対して本学会は、医療観察法の運用の実態を把握するために、全国の指定入院医療機関および厚生労働省を対象とした調査を実施した。本稿はその2つの調査をまとめた報告である。
パチンコ・スロット利用者に病的賭博のスクリーニングに用いられる日本版SOGSを実施し、ギャンブル依存症の自覚の有無やソーシャルサポートを尋ねた。病的賭博者に該当するのは351人(70.2%)、問題賭博者は143人(28.6%)であった。サポートを受けている人は9人(6.5%)だが、精神保健センターなどの専門機関や自助グループにかかわっている人は各1人程度であった。
特集 | 487-512頁
高木 俊介,他
入院医療中心の精神科医療を脱するには、濃厚な地域生活支援体制をつくりあげることが必要である。本特集では、コミュニティ・ケアにおけるACTの位置づけと役割、精神障害者就労支援からみえてくるもの、多職種アウトリーチサービスと医療経済、地域における統合失調症治療に必要な構造とスタッフ技術などについて論じる。
発達障害の類型概念について整理し、鑑別診断と対応の考え方について述べた。今後、すべての精神科医に以下のことが求められる。診断においては、すべての症例に対して「発達」というディメンジョナルな軸を導入し、多軸的に診断する習慣をもつ。対応においては、個々の症例の生活困難に対して、発達障害の影響を考慮しながら併存する他の精神疾患の治療を行う。

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