精神神経学雑誌

116巻3号 掲載論文ハイライト

東日本大震災では、多数の市町自治体が広域に被害を受け、地域の精神医療・保健に多大な被害があった。外部や地元関係者による支援活動が行われたが、多くの課題も残された。津波被害の大きかった宮城県での直後期・急性期の精神医療・保健領域における被害とこれに対応したさまざまな活動を概観することで、今後に起こる災害への備えや対策に向けた課題を検討した。
2011年3月11日に起きた東日本大震災発生後、被災地では、さまざまな精神科医療の取り組みがなされた。本特集では、災害直後のこころのケアのあり方、震災後の自殺対策、災害後の精神疾患予防の取り組み、大学寄付講座のあり方、原子力発電所事故後の精神的負担、原発事故の影響、災害救助要員のメンタルヘルス、災害精神医学に関する研究の課題などについて論じる。
第109回日本精神神経学会学術総会:会長講演 | 238-244頁
神庭重信
「多元主義」をもって精神疾患の過程・意味を描き出し、病態の理解と治療に応用する上で、精神病理を考えるに際してこれまで論考されることの少なかった、器質としての「脳」と心因としての「文化」の共同構成に触れる。さらに、文化アフォーダンスという概念を導入して、メンタリティの病としての精神疾患の側面の理解を深める試みを紹介する。
第109回日本精神神経学会学術総会:精神医学奨励賞受賞講演 | 245-253頁
小田祐子
周期的なクリック音刺激により誘発されるASSRは、GABA作動性抑制性介在ニューロンの機能を反映していると言われている。以前から双極性障害(BP)おいて、GABA 系の機能不全がある可能性について議論されてきたが、ASSR研究に関する報告は少ない。今回の研究では脳磁図を用いて、BPを対象に周波数帯域に分類しそれぞれASSRを検討した。

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