精神神経学雑誌
本研究では2009~2010年における東京都23区の医薬品の過量服用による死亡事例と東京都内の医療機関で処方された者を対象として,死亡事例の原因となった薬物と,処方された薬物との比較検討を行った.精神科にて処方された薬物が過量服薬による直接的な死亡原因となっていることが示唆され,過量服薬による死亡リスクが特に高い薬剤が同定された.
医療保護入院制度に関する法解釈として,内縁関係にある者も同意者たりうるか.病院・行政実務では当然のように消極視されてきたが,保護者制度下の学説や裁判例では審判を条件として積極に解する説が有力だった.本稿は旧法下での議論を現行法に照らして再検討し,今や消極説は採用しがたいことを論ずる.積極説をとる場合に問題となる手続的事項についても触れる.
本特集では,「各領域から考える自殺予防と精神保健―大学,病院,企業における現状と課題―」というテーマのもと,「大学生の自殺予防とメンタルヘルス」,「医学部と病院を擁する大学の教職員のメンタルヘルス支援体制の構築」,「職場におけるメンタルヘルスと自殺対策―職業性ストレスと希死念慮に関する予備的調査を踏まえて―」について論じる.
主治医と職場が連携するためには共通理解が必要である.職場としての対応原則は疾病性ではなく事例性であることへの理解は重要である.国も労働者のメンタルヘルス対策として様々な指針や手引きを出している.企業はこれら指針や手引きを念頭にメンタルヘルス不調の労働者に対応していることが多く,主治医が同様の知識をもつことはスムーズな連携につながる.
Current Topics | 47-50頁
精神保健福祉法特別委員会 太田 順一郎
平成26年4月に施行された改正精神保健福祉法では,(1)保護者制度の廃止,(2)退院促進に関連するいくつかの制度の新設,(3)大臣指針の策定,(4)精神医療審査会委員の属性の変更の4点が主な改正点であった.本稿では,日本精神神経学会が発表した平成16年の提言と,今次法改正にあたって公表した2つの見解を概説し,次回の法改正に向けての課題について報告したい.
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