Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第4号

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特集 本学会の「沖縄精神科医療委員会」活動の検証―50年が経過して―
派遣医制度と本学会活動の歴史的評価
西園 昌久1)2)
1)心理社会的精神医学研究所所長
2)福岡大学名誉教授
精神神経学雑誌 118: 236-241, 2016

 1967(昭和42)年,日本精神神経学会に「沖縄精神科医療協力委員会」が置かれ,私は沖縄の精神科医療の確保に派遣医の実施などに協力してきたが,金沢学会後,解散することになり,代わって1971(昭和46)年に発足した「沖縄精神科医療委員会」に,委員長の高橋良長崎大教授とともに担当理事に指名され,この問題とかかわることになった.具体的には,派遣医を巡る諸問題の実態把握と今後の方針をたてるため現地を訪問することから始めた.私ども担当理事と現地の事情に詳しい豊田純三,山里昭子両委員が加わり,1971年12月21日から27日まで沖縄に出張した.沖縄本島では,当時の琉球政府,日本政府の出先機関,公的私的精神病院,ほとんどすべての保健所,琉球精神保健協会,さらに宮古島,石垣島でも関連施設を訪問し,当時の現地の精神科医療の実態,これまで果たしてきた派遣医の役割,現地関係者の現状認識と本学会への要望を把握することに努めた.また,現地で本学会員,現に派遣医としている人々などと可能な限り会合を開き意見交換の機会をもった.その中で派遣医は,病院内診療に限定されることなく,必要に応じて地域に出て活動したいという意欲のあることが明らかになった.このような現地視察をもとに「報告書」を作成し,派遣医の継続・再開に継げることになった.私個人は,上記の公的な役割を果たしたほかに,当時存在し,沖縄の本土復帰後に消滅した「駐在保健婦制度」の役割に意義を感じた.ともあれ,派遣医制度は沖縄の精神科医療の助力のみならず,その後の国内他地域の震災時のボランティア活動のモデルになったことは特記してよいことであろう.

索引用語:沖縄精神科医療委員会, 派遣医制度, 現地視察報告書, 駐在保健婦制度, 震災時ボランティア活動のモデル>
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