心理職は長年精神科医療のなかで精神科医や看護師とともにチーム医療に参画し,心理検査や心理療法などの業務を行ってきている.心理職が心理療法のなかで扱う内容は幅広く,その対象は個人に限らず家族や関係者も含めた面接を行うことがある.集団精神療法も業務の1つである.柔軟に,一人ひとりに合った支援方法を考え,病状や病態水準,また,治療の進展によっても支援内容を変えていくため,多くの場合,必要なアプローチ,さまざまな技法を組み合わせて行っている.地域で生きる「人」を支えていくために,どのような支援が今一番必要なのかを考えて施設内のみならず他機関の専門職とも協力し合うことが重要であるため,アウトリーチによる支援や,地域ネットワークの支援のなかに入っていくことが今後の課題である.国家資格「公認心理師」が本格的に始動したのち,心理職の支援を受けたいと願う方にすぐサービスが届けられるような制度の整備が期待される.
日本精神神経学会 多職種協働委員会 企画
第15回
精神科医療における心理職の働き―心理療法・カウンセリングの事例を通して―
独立行政法人地域医療機能推進機構埼玉メディカルセンター(臨床心理士)
精神神経学雑誌
120:
1108-1114, 2018
<索引用語:心理職, 臨床心理士, 公認心理師, 心理療法, チーム医療>