Chewing and spitting(CHSP)とは,食べ物を口に入れて咀嚼後,嚥下せず吹き出すという行動であり,摂食障害患者の一部に認められるが,薬物療法の報告はわれわれが調べた限りでは今までにない.今回,CHSPの出現により極端に体重が減少し入院となり,SSRIs投与によりCHSPがほぼ消失した結果,体重が増加し退院に至った神経性無食欲症の1例を経験した.CHSPは摂食障害の重症度と関連があると報告されており,その早期治療が摂食障害の重症化を防ぐうえで重要と考えられたため,臨床経過を示すとともに文献的考察を交え報告する.
Chewing and SpittingにSSRIsが奏効した神経性無食欲症の1例
1)三隅病院精神科
2)山口大学医学部附属病院精神科神経科
2)山口大学医学部附属病院精神科神経科
精神神経学雑誌
117:
327-332, 2015
受理日:2014年12月22日
受理日:2014年12月22日
<索引用語:神経性無食欲症, チューイング, 強迫性障害, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬>